2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
アグラゼ コンスタンチン Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (30503651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬籠 信之 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (70390052)
元池 育子 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 研究員 (70347178)
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Keywords | 非線形振動 / 興奮性 / 曲率効果 / 心筋細胞 / ラセン波 / 反応拡散方程式 / パターン形成 |
Research Abstract |
興奮性媒体において伝播する興奮波は、鋭角となっている非興奮領域の周辺や、狭い興奮領域を通過する際、正の曲率が大きくなりすぎるために伝播ができなくなる場合がある。この現象は様々な興奮系で知られており、実際の心臓でのラセン波形成機構の一つと考えられている。このことから、モデルとしての培養心筋細胞系において、興奮波が伝播できない阻害領域を意図的に作り、その領域を通過する興奮波の形状や不安定性について、実験ならびに理論の両面から議論する。 当該年度においては、培養細胞に対し、「ゲート状」となるよう、細胞の存在しない領域を部分的に作った。主としてゲート間距離を変えることによる興奮波の通過の成否を始めとし、ゲート周辺での興奮波の形状変化やゲート内外での引き込み挙動などについて調べた。興奮波は、自発的な発生の他、電気刺激によって誘起させた。 ゲート部分を通過する興奮波の挙動は、ゲートの幅が80ミクロン程度以下では興奮波はゲートを通過できずに消滅し、150ミクロンを越えるとゲートに到達した興奮波がそのまま通過した。この間の領域では、複数回に一回の割合でゲートを通過するという挙動について確認することができた。 また、細胞興奮を抑制するナトリウムチャンネル阻害剤や、興奮後の不応期を長く保つカリウムチャンネル阻害剤を用いるなどし、細胞の興奮性を変えた場合についても同様に検討した。この結果、ナトリウムチャンネルを阻害した場合で興奮波のパターンが顕著に変化するなど、基礎的なデータを収集することができた。 これらの実験結果を基に、興奮性を示す最も簡単な反応拡散方程式の一つとしてのFitzHugh-Nagumoを用い、実際のスケールを踏まえた上で各イオンチャンネル挙動を考慮して数値計算を行い、実験結果を定性的に説明できた。
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