2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
アグラゼ コンスタンチン 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (30503651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬籠 信之 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (70390052)
ORLOVA Yuliya 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点研究員 (90571901)
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Keywords | 非線形振動 / 興奮性 / 曲率効果 / 心筋細胞 / ラセン波 / 反応拡散方程式 / パターン形成 / 光制御 |
Research Abstract |
興奮性媒体において伝播する興奮波は、鋭角となっている非興奮領域の周辺や、狭い興奮領域を通過する際、正の曲率が大きくなりすぎるために伝播ができなくなる場合がある。この現象は様々な興奮系で知られており、実際の心臓でのラセン波形成機構の一つと考えられている。このことから、モデルとしての培養心筋細胞系において、興奮波が伝播できない阻害領域を意図的に作り、その領域を通過する興奮波の形状や不安定性について、実験ならびに理論の両面から議論する。 当該年度においては、従来通りの培養細胞に損傷を与えて阻害領域をつくる方法に加え、前年度に見出した、心筋細胞活動の光制御系についてさらに研究を進めた。 培養細胞において、作成したギャップ幅に応じた、興奮波のギャップの通過あるいはギャップ部位での停止について実験的に明らかにした。また、ギャップ前後での興奮波の引き込みについても明らかにすると同時に、鋭角に旋回する際に興奮波に端点が生じてラセン波が形成することを実験的に明らかにした。これらの結果は、数値計算によって、定量的な議論を行っている。 また、光感受性物質を混在させることによる細胞の興奮性の制御については、照射する光の形状をプロジェクターを用いて任意に変え、この照射パターンに応じて興奮波の阻害や端点形成が可能であることを明らかにした。 さらに、これまでと同様、ホールセルクランプ法による膜電位の測定を続けており、活動阻害領域での心筋細胞の状態についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容的には,申請書に記載した計画に沿って順調に進展していると考えている。理論的な面において興奮性阻害領域近傍での不安定性についての解析がやや遅れているが、光感受性物質を用いた興奮性の可逆的制御手法の新規開発に成功するなど、申請時には想定できなかった新しい展開もあった。この手法によって、実験と理論との比較が行ないやすくなるため、今後は理論的な観点からの研究も大きく進展すると考えられる。従って、全体として「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
実験においては、個々の細胞、あるいは、細胞集団での特定領域の興奮性を光で制御する実験系の開発を中心に据え、理論については、その阻害領域周辺で生じる興奮波の不安定性について解析を進める。膜電位測定も同時に行っており、各イオンチャンネル特性や、実際のスケールを基にした、より現実的な興奮波について解析を進めていきたい。特に細胞の光制御系に関しては、新規研究テーマとしての発展性についても検討していく予定である。
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