2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルデラ形成噴火の発生時期と海水準変動に伴う地殻内応力の変化との関係
Project/Area Number |
21340144
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
長橋 良隆 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (10292450)
|
Keywords | 地質学 / 火山 / テクトニクス / テフラ / 地球変動予測 |
Research Abstract |
平成21・22年度に九州の火砕流堆積物試料を計85試料採取した.今年度は,それらについてSEM-EDSによる火山ガラスと斜方輝石の主元素組成を明らかにし,また卓上走査電子顕微鏡による火山ガラスの形態を撮影した.これらの分析結果は遠方に堆積した広域テフラ層との対比を検討する基礎資料となる. 平成22年12月13日~平成23年1月10日に,10DPちきゅうExp.333研究航海に乗船研究者として参加した.この研究航海では紀伊半島沖南海トラフの3サイトでコア試料を採取した.このうちSitesCOO11とCOO12は,南海トラフ掘削計画において,沈み込む前の物質の年代・物性・組成を知るリファレンス(インプットサイト)として位置づけられている.また,SiteCOO18は深海斜面において海底地すべり堆積物の採取を目的として実施した. 3サイトから採取した合計356個のテフラ試料(COO18:88試料,COO11=188試料,COO12:80試料)全てについて,卓上走査電子顕微鏡による火山ガラスの形状観察と写真撮影,SEM-EDSによる火山ガラスと斜方輝石・角閃石の主元素組成分析を行った.これらテフラ層のデータの整理を行い,標準層序となるCOO11サイトのテフラ層と陸域の広域テフラ層との対比について検討した.その結果,船上で対比したアズキ火山灰層・ピンク火山灰層と太田火山灰層以外に,20層のテフラ層が大阪層群・古琵琶湖層群・東海層群・上総層群のテフラ層と対比されることが分かった.また,爆発的噴火史の観点では,火山ガラスの主元素組成において高シリカ・低カリウム組成のテフラ層が比較的多く挟まることが明らかになった.これは,陸域のテフラ層ではあまり知られていない特徴であり,おそらく伊豆-マリアナ弧起源のテフラ層と考えられる.COO11コア試料は過去約800万年間のテフラ層を保存しており,今後,他のテフラ層と合わせて,その年代と頻度を明らかにすることにより,西南日本のカルデラ火山や伊豆-マリアナ弧の火山の爆発的噴火史を検討することができる.
|