Research Abstract |
平成21年度には,腕足動物殻の炭素・酸素同位体組成を,現生試料の3次元サンプリングに基づいて詳細に検討し,真に過去の海洋の炭素・酸素同位体組成が記録されている部位を特定するとともに,その信頼性を評価する研究に取り組んだ. 岩手県大槌湾沖で,平成21年7月より,Terebratulina crosseiおよびTerebratalia coreanicaの生息地点付近(水深70m)の海水を3ヶ月おきに採水し,名古屋大学環境学研究科大気水圏科学系の阿部理博士の研究室で,炭素(溶存無機炭素)同位体組成と酸素同位体組成を測定した.平成22年度からは,定期採水の間隔を2ヶ月にして,両同位体組成を測定する予定である.また,海水の分析と平衡して,これまでに採取した腕足動物殻の3次元サンプリングを進めた. 平成21年12月には,本研究の推敲にとり必要不可欠である質量分析計(Thermo Fisher Scientific社製Delta V)が研究代表者の研究室に導入された(補正予算).その後,東北大学より移設した炭酸塩自動前処理装置(ThermoQuest社製(Kiel III)を装着し,運用に向けての調整を行った.その結果,今後の分析に十分な分析精度を得ることができた. なお,神奈川県相模湾に生息する(Laqueus rubellusの同位体組成に関する従来の研究成果については,その一部を再検討し,結果を論文としてまとめた.
|