2011 Fiscal Year Annual Research Report
揚子地塊における礁生態系のレジーム転換-オルドビス紀地球生物相大変革の解明-
Project/Area Number |
21340154
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
江崎 洋一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60221115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 奈津子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特任講師 (40608759)
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Keywords | 古生代 / 礁 / 微生物 / 微生物礁 / 揚子地塊 / カンブリア紀 / オルドビス紀 / 生態系 |
Research Abstract |
今年度は,揚子地塊(主として湖南省花垣県)で特徴的な「礁生態系のレジーム転換様式」の転換初期相の実態を把握するために,とくに下部カンブリア系(清虚洞層)と中部カンブリア系(花橋層・車夫層)の野外調査を行った. 1.カンブリア紀型進化動物群の「衰退様式」と,古生代型進化動物群の「最初期放散様式」を,各年代を代表する特徴的な"微生物"礁の「構成」・「組織」・「構築・構造様式」を比較・検討することによって解析した. 2.カンブリア紀前期最末期の礁は,量的に僅かな古杯類と多量の石灰藻類・微生物類で構成され,衰退様式の状況が判明した.その上で,カンブリア紀中期に特徴的な礁への変遷様式[どのような食性・栄養段階の生物相が,どのような層序学的な序列で,海洋環境(栄養源や海水中の溶存酸素量など)と,どのように関係しながら変化したのか]を解く手掛かりが得られた. 3.「地球生物相の一大変革」が,揚子地塊で世界に先駆けて生じた原因を,当時の大陸配置を考慮し,海洋中の第一次生産性の差から考察した. 4.「レジーム転換様式の詳細」と「大放散の地球生物学的な背景」との関係を,「生息場の変遷ダイナミズム」の枠組みの中で統一的に解明するための貴重なデータが得られた. 得られた研究成果は,日本古生物学会(金沢:6月),国際化石刺胞動物・海綿動物会議(ベルギー・リェージュ:8月),日本地質学会(茨城:9月)の場で発表を行なった.6編(印刷中を含む)の論文を発表した.
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