2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期原生代の大気酸素上昇の定量的予測:極低酸素風化環境下でのFeの挙動
Project/Area Number |
21340157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00253295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
宇都宮 聡 九州大学, 大学院・理学系研究院, 准教授 (40452792)
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Keywords | 大気進化 / 風化 / 古土壌 / 低酸素 / Fe |
Research Abstract |
初期原生代(25-20億年前)に大気酸素分圧(PO_2)は、<10^<-6>気圧から>10-<-3>気圧に上昇したと考えられている。我々はこのような低酸素状態でのFe(II)の酸化速度式と鉱物の溶解速度式をPO_2の関数として実験的に決定し、風化当時のPO_2の情報がFeの酸化速度の関数として残されている古土壌(当時の風化を受けた岩石)に適用する、また、この速度論を元に風化モデルを構築、数式化することにより、初期原生代の酸素上昇パターンを定量的に明らかにしようとしている。 前年度、低酸素雰囲気を実現するため、グローブボックスの改良を行い、PO_2を10^<-7>気圧まで下げられることがわかった。しかし、グローブボックスの故障で、Feの酸化速度の実験はPO_2を10^<-5>気圧までしかできなかった。一方、ルミノール試薬を用いた化学発光法(CL)では、極低Fe(II)濃度(数十ppt)を測定する改良により、PO_2を10^<-7>気圧に対応するFeの酸化速度の実験が可能になった。酸化速度則は、10^<-3>気圧を境に、基本的に異なり、酸化機構が異なることを見いだした。PO_2が10^<-3>気圧以上では、速度式はd[Fe(II)]/dt=-k[Fe(II)][OH-]^2[O_2]となり、Fe(OH)_2の溶存種が速度をコントロールするが、10^<-3>気圧以下になると、d[Fe(II)]/dt=-k'[Fe(II)][OH-]_2[O_2]^<0.55>となり、酸素の中間種(H^2O^2等)が速度をコントロールすることがわかった。これらの速度式の古土壌への適用では、25・20億年前の大気酸素は従来の説と異なり、緩やかな上昇をすることを示した。
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Research Products
(4 results)