2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期原生代の大気酸素上昇の定量的予測:極低酸素風化環境下でのFeの挙動
Project/Area Number |
21340157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00253295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
宇都宮 聡 九州大学, 大学院・理学系研究院, 准教授 (40452792)
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Keywords | 大気進化 / 風化 / 古土壌 / 低酸素 / Fe |
Research Abstract |
初期原生代(25-20億年前)に大気酸素分圧(PO_2)は、<10^<-6>気圧から>10^<-3>気圧に上昇したと考えられている。我々はこのような低酸素状態でのFe(II)の酸化速度式と鉱物の溶解速度式をPO_2の関数として実験的に決定し、風化当時のPO_2の情報がFeの酸化速度の関数として残されている古土壌(当時の風化を受けた岩石)に適用する、また、この速度論を元に風化モデルを構築、数式化することにより、初期原生代の酸素上昇パターンを定量的に明らかにしようとしている。 Feの酸化速度、鉱物の溶解速度、地下水流速度をサブモデルとする風化モデルを構築し、それを数式化した。このモデルは、風化帯に残るFeの濃度とPO_2との関係を定量的に示すことができ、従って、任意の風化帯、特に古土壌のFe(II)/Fe(III)濃度が得られると、当時のPO_2が計算できる。Feの酸化速度と鉱物の溶解速度のパラメーターはそれぞれ前年度までの低酸素状態での実験で得られたものを導入した。また、地下水流速度はある程度幅を持つ文献値を用いた。感度解析より、風化時間、鉱物の溶解速度、酸素の風化帯への拡散は、風化帯中のFe(II)/Fe(III)濃度に影響しないことがわかった。一方、温度、pH、地下水流速は大きく影響する。このモデルを初期原生代の古土壌のFe(II)/Fe(III)濃度に適用し、当時のをPO_2を算出した。その結果、初期原生代の大気酸素分圧は、log(PO_2)と年代がほぼ一次関数的に関係し、<10^<-6>気圧から>10^<-3>気圧に徐々に上昇することがわかった。
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Research Products
(5 results)