2010 Fiscal Year Annual Research Report
上部マントルの化学進化:欧州の主要かんらん岩体の温度・圧力履歴からの制約
Project/Area Number |
21340158
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 一仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90160853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20126486)
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Keywords | 上部マントル / 化学進化 / 温度圧力履歴 / 地球の化学組成 / 再肥沃化 |
Research Abstract |
平成21年度に予定していたフランスピレネー山脈西部の肝がん岩体とイタリアのLanzoかんらん岩体の調査は、研究協力者のJean-Louis.BodinierとCarlos Garridoとのスケジュール調整の結果、2011年9月25日から2011年10月12日まで、Frangoise Boudierの協力も得て実施した。ピレネー山脈とLanzo岩体あわせて300kg近い岩石を採集することができた。ピレネー山脈では、昨年度の分析結果から数ミリ以下の割れ目を埋める、かんらん石-斜長石安定領域まで上昇した後にできたと考えられる未変形のはんれい岩質岩石が確認出来ていたLherz岩体において割れ目の発達の仕方や、変形した層状構造との関係を明らかにすることができた。平成22年度は、21年度に引き続き、ピレネー山脈東部から中部のかんらん岩体のかんらん岩と輝岩のEPMA,FE-SEM/EBSDの分析解析をすすめた。その結果以下の事が明らかとなった。(1)東部に位置するBestiac岩体は、輝岩周辺のみにかんらん石-ざくろ石の組み合わせが存在し、かんらん石と直接接するざくろ石は全てスピネル-輝石シンプレクタイトに分解している。輝岩中のざくろ石に接する斜方輝石はざくろ石に向かってAlが明瞭に増加するが、かんらん岩中ではシンプレクタイトに向かう斜方輝石中のAlの増加は顕著でない。このこととCaの累帯構造から、Bestiacはざくろ石-かんらん石安定領域の低圧部から等温減圧に近い経路を辿って上昇した。(2)斜方輝石の内部にある低角境界にAlの濃集が認められ、その微細構造から上昇に伴って輝岩が変形流動していたことがわかった。
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