2010 Fiscal Year Annual Research Report
隕石衝突によって初期地球へ供給された有機物の化学進化についての実験的研究
Project/Area Number |
21340164
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三村 耕一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80262848)
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Keywords | 隕石 / アミノ酸 / カルボン酸 / 分析法 / 衝撃波 |
Research Abstract |
本研究の目的は,「地球に落ちた隕石中の有機物がどのように化学進化をしたのか?」を探ることである.平成22年度では,前年度に開発したアミノ酸分析法およびカルボン酸分析法を用いて,衝撃を作用させた隕石模擬物質中のアミノ酸およびカルボン酸の挙動を検討した. カルボン酸の衝撃実験では,出発物質として蛇紋岩粉末と3種類のカルボン酸(酢酸,酪酸,ヘキサン酸)ナトリウム塩を混合したものを用意した.実験の結果,「20GPaを超えるとカルボン酸は急激に分解すること」、「35GPaではカルボン酸の0.5%から5%生き残ること」,「同程度の衝撃圧力においては炭素数の多いカルボン酸が安定であること」などを明らかにした。 アミノ酸の衝撃実験では,出発物質として蛇紋岩粉末とアミノ酸4種(グリシン、アラニン、アミノ酪酸、アミノイソ酪酸)を混合したものを用意した.ここで選んだ4種のアミノ酸は炭素質コンドライト中に多く含まれているものである。実験の結果、「アミノ酸は約20GPaを超えると急激に減少すること」,「アミノ酸の一部は遊離アミノ酸から酸生成アミノ酸(酸加水分解を行うとアミノ酸に変化する物質)へと存在形態が変化すること」が明らかになった。さらに,「アミノ酸2分子が重合してペプチドを生成すること」も確認された.また,このペプチドには2つのアミノ酸が1つのペプチド結合で鎖状につながったものと、さらにもう1回ペプチド結合することで環状につながったジケトピペラジンが存在することが確認された. これら結果は、初期地球に落下した隕石によって供給されたアミノ酸とカルボン酸の特徴を明らかにするための重要な情報となる。
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Research Products
(5 results)