2009 Fiscal Year Annual Research Report
超精密低エネルギー電子プラズマ制御による低次クラスター分子集合体の形成
Project/Area Number |
21340167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯塚 哲 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20151227)
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Keywords | エネルギー制御 / クラスター / インパルスプラズマ / 高分子 / ナノ構造 / スパッタリング / 酸化亜鉛 / 炭素重合反応 |
Research Abstract |
本研究では、プラズマ中の電子やイオンエネルギーを制御し、プラズマ中で連鎖的に起こる低次クラスターの形成過程やその生成機構を詳細に解明する。また、連続的に進行していくナノ構造の成長や形成制御のための基礎過程の解明と、その能動的制御のための基盤技術を開発する。 今年度は初年度であり、金属酸化物や炭素材料の種々のナノ構造の先駆的生成物であるクラスター形成のための放電系の構築と観測のための新規購入FTIR測定系の新設を行ない、以下の成果を得た。 (1)プラズマからの発光分光と反応性スパッタリングにおけるイオンエネルギーの精密制御を組み合わせることにより、これまでよりも精細なスパッタ成膜法を開発した。亜鉛電極を用いたAr/O_2プラズマス中でZnOナノロッドの初期形成過程を初めて観測した。ナノロッドはガラス基板から垂直に成長していることが分かった。ロッドの形成には基板温度が重要であり、300℃程度の高温では透明な薄膜となり、150℃程度の低温ではナノロッドが形成された。成長の初期過程における基板上にクラスター状堆積物の形成が観測された。プラズマ条件を変え、クラスター形成とその後のZnOナノロッドの成長との関係が明らかになった。 (2)分子クラスター形成の極めて初期過程では、分子が重合反応してクラスター集合体として成長していくものと考えられる。ガスのプラズマ分解と炭素低次クラスター形成との関係を明らかにするためにガス流を伴うガラス管内部における炭酸ガスと水素の分解、合成による低次炭素化合物の形成過程をFTIR法により観測した。CO_2の分解と水素の還元によりCH_4やCH_3OH、C_2H_4、C_2H_6などの低次有機化合物の生成を観測し、重合反応による低次炭素クラスター形成が明らかになった。 本実験によって、クラスター成長の初期における重合反応や反応生成物が明らかになった。
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