Research Abstract |
ナノスケールのプラズマ微細加工技術開発のためのプラズマ・固体表面相互作用について,実験・シミュレーションの両面から,プラズマエッチングにおける表面ラフネス(凹凸)形成機構の解明と,エッチング反応生成物の電荷状態の解明を進めた.[1]モンテカルロ法をベースとした原子スケールセルモデル(ASCeM)によるプラズマ・表面相互作用シミュレーションについて,これまでのCl_2,Cl_2/O_2プラズマによるSiエッチングに加え,HBr,HBr/O_2プラズマによるSiエッチングのモデルを新たに構築した.そして,[2]ASCeMと古典的動力学(MD)シミュレーションにより,Siエッチングにおける表面ラフネスのガス種依存性を調べ,Br系よりCl系プラズマの方がラフネスが大きく,さらに0混合によりラフネスが増大することを明らかにした.また,[3]マスクパターン構造の差異により生じるエッチング形状の違いについて,ASCeMモデルを用いて調べ,ライン端ラフネス(LER)・ライン幅ラフネス(LWR)の形成機構を考察した.[4]BCl_3混合プラズマ(BCl_3, BCl_3/O_2, BCl_3/Cl_2, BCl_3/Ar)によるHfO_2エッチングについて,電子サイクロトロン共鳴(ECR)と誘導結合型プラズマ(ICP)でのエッチング特性を調べた結果,ECRとICPでは特性が異なり,電荷を有する反応生成物形成の可能性を示唆する特性(基板バイアス/イオンエネルギー増大とともに,エッチング→堆積に遷移)は,ECRでは生じるが,ICPでは得られないことがわかった.今後の研究進展により,反応生成物の電荷状態解明につながることが期待できる.
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