2009 Fiscal Year Annual Research Report
錯体物質への水素吸蔵状態と微結晶内水素拡散の解明および光照射による吸脱着制御
Project/Area Number |
21350003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (00155011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 悟朗 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00333592)
高見澤 聡 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 准教授 (90336587)
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Keywords | 水素吸蔵 / 結晶内水素拡散 / 分子吸蔵脱着 / 固体NMR / マイクロコイルNMR / 中性子回折 / 光異性化 |
Research Abstract |
ジアリールエテン誘導体を配位子としたフォトクロミック金属錯体、Ag2(CF3CO2)2(cis-dbe)(1)および[Mo2(CF3CO2)4(cis-dbe)](benzene)(2)を合成し、自作の気体吸蔵量測定装置を用いてH2、N2、CO2、C2H4などの気体吸蔵量を調べた結果、吸蔵量は極めて微量であることが分かった。しかし物質2はbenzeneを可逆的に吸脱着することを見出し、重水素化benzeneの固体重水素核NMRの測定により、ホスト格子中でbenzene分子はその6回軸周りに極めて激しく回転し、6回軸も才差運動していることを見出した。この物質はbenzene程度の分子間力を持つ分子は可逆的に吸脱着するが、H2など分子間力が小さな分子を吸蔵することは困難なことが分かった。ホスト格子の光異性化によるbenzeneの吸蔵特性の変化、およびbenzeneと類似した分子の可逆的吸脱着についても検証中である。 [M^<II>_2(O_2CPh)_4pyz]_n(M=Rh,Cu;pyz=pyrazine)についても自作の装置によりH2を8気圧まで吸蔵量を測定した結果、1気圧に比べ2倍以上の量を吸蔵することを新たに見出した。また、この吸蔵状態およびそのメカニズムを固体NMRにより解明するため、水素圧10気圧下でNMR測定を可能にするNMRプローブを構築した。さらに、新規に購入した非磁性3軸ゴニオメータを搭載したNMR用クライオスタットを構築し、[Cu^<II>_2(O_2CPh)_4pyz]_nの単結晶試料中の水素分子の拡散過程をNMRにより観測する準備を整えた。 強い磁性を持つCo錯体のうち、水分子を可逆的に取り除くことによりフリーのメタルサイトをホスト格子の空孔内壁に作り出せる物質を見出したので、ここにH2を吸着させる準備を進めている。水素吸蔵に対する磁性とフリーのメタルサイトの効果を調べる。
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Research Products
(9 results)