2010 Fiscal Year Annual Research Report
錯体物質への水素吸蔵状態と微結晶内水素拡散の解明および光照射による吸脱着制御
Project/Area Number |
21350003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00155011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 悟朗 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00333592)
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Keywords | 水素吸蔵 / 結晶内水素拡散 / 分子吸蔵脱着 / 固体NMR / マイクロコイルNMR / 中性子回折 |
Research Abstract |
1.[M^<II>_2(O_2CPh)_4pyz]n(M=Rh,Cu;pyz=pyrazine)の完全重水素化物について、J-Parcに設置された超高分解能粉末中性子回折装置Super-HRPDを用いて、重水素1気圧下での80Kと30Kで詳細な構造解析を行った。Rh錯体については単結晶X線構造解析により決定された構造とは異なり対称性がP_1^<-1>であることが新たに解った。これは取り込まれた重水素分子も中性子回折では十分に検出できるためと考えられる。Rh錯体の重素分子の詳細な位置や配向については解析中である。Cu錯体の重素分子の詳細な位置や配向の決定に成功した。 2.今年度新たに購入したDSC装置(メトラーDSC-1)により上記二種類の錯体について、水素1気圧下で、水素分子吸蔵および放出に伴う吸蔵熱の大きさ決定するとともに、Rh錯体では異なる温度領域で2段階で水素分子を吸蔵および放出することを見いだした。また、Rh錯体では1段階目の水素吸蔵により誘発される相転移を見いだし、これに伴う熱異常を水素吸蔵熱と区別して測定することに成功した。 3.最近見出されたCo(II)やNi(II)の高分子錯体のキラルな結晶チャンネル中への様々な気体分子の吸蔵を試みた結果、水素分子は吸蔵しないものの、NO分子を吸蔵することを新たに見いだした。 4.本年度報告されたキラルな結晶チャンネルを持つイットリウム(Y3+)やランタノイド(Tb3+)などを合成し、NMR方などにより水素吸蔵状態を調べるべく準備を行った。 5.[Cu(II)2(O2CPh)4pyz]nの微小単結晶にD2分子を吸蔵させた結晶の微小単結晶マイクロコイル重水素核NMRは進行中である。
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