2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
美齊津 文典 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (20219611)
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Keywords | クラスター / イオン移動度 / 異性体 / 質量分析 / 飛行時間質量分析計 / レーザー分光 |
Research Abstract |
本研究では、イオン移動度分析法によるクラスターやナノ粒子イオンの異性体分離高感度分析分光のための装置と技術の確立を目指している。これによって、未踏領域であるサブナノメートル領域の化学種の構造特異的な物性を、特定のサイズごとに明らかにすることができ、新規な触媒や分子素子の開発につながる基礎的知見を与えうる。 高感度化の具体的な計画として、本年度はタンデム反射型飛行時間質量分析計およびイオン集束用電極群の開発を当初の予定としていた。このうち、タンデム反射型分析計は当初の構想を大幅に拡張した新規設計装置の設計・製作を完了させることができている。本年度前半は新研究室立ち上げの影響があり、なかなか設計が進まなかったが、9月以降はその遅れを取り戻す勢いで設計が完了し、製作も年度内に終了した。検出感度向上の検証試験も現在着々と進行している。さらにイオン集束電極群の設計については、当初イオンファネル型の製作を予定していたが、さらに八極子型の電極群も追加設計することになった。この意味で、本年度の研究実施は、当初の予定の150%程度の密度で進行している。また、現在の完成した装置による炭素クラスターイオンの異性体選択光解離実験では、より精度を高めたイオン飛行軸調整とイオン信号S/N比の飛躍的向上、ドリフトセルの精密温度制御の結果、従来の結果に比べて格段に高い検出感度となることを検証することができ、信頼度の高い実験データを得ることができるに至っている。現在のところ、本研究で行っている異性体分離分光の実験は世界で唯一のものであるので、このリードを保ったまま種々の分子・クラスター系への適用を進めたいと考えている。そのため、新年度はすぐにいくつかのクラスター系への適用が進めていく見込みである。このペースで計画が進行すると、当初3年間の予定であった研究計画を2年間で完了させることができる見通しが立った。
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Research Products
(6 results)