2009 Fiscal Year Annual Research Report
反応経路高速自動探索法の開発と選択的反応制御への応用
Project/Area Number |
21350007
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Research Institution | Toyota Physical & Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
大野 公一 Toyota Physical & Chemical Research Institute, フェロー (60012499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 武明 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70302081)
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Keywords | 反応経路探索 / 自動探索 / 自動解析 / ケイ素化合物 / 遷移構造 / 反応機構 / 不斉触媒 |
Research Abstract |
本研究の目的を達成するために、本年度は、とくに次の2点について、反応経路探索の計算手法の開発を進めた (1)原子数の多い問題への適用範囲を広げること Large ADD Following法のパーフォーマンスを上げる改良を進めるとともに、かさ高くフレキシブルな構造をもつ反応系の遷移構造を効率的に探索するために、Microiteration法を開発した。これによって、数百原子以上の系を扱い得るようにした。 (2)理論化学・計算化学を専門としない実験家に利用しやすいようにすること 化学反応経路探索に関するシンポジウムを開催して、GRRMプログラムの仕様および利用法を解説し、一般への普及をはかるとともに、得られる計算結果を自動解析するプログラムの開発に着手し、化学構造や遷移構造が数百種類以上の非常に多数の構造が探索された結果を自動的に整理・解析するデータ処理システムを構築した。 上記(1)では、Microiteration法の開発によって、多数の原子からなる系の反応経路探索の大幅な高速化が可能になった。計算速度の改善については、並列分散処理をクラスター計算機で行う場合のノード間のデータ転送と個々の点についての量子化学計算を反復するGRRM計算のアルゴリズムとの関係を精査し、より高速にGRRMプログラムを駆動する方策を検討した。 上記(1)(2)に加え、実際の反応系への応用として、とくにかさ高い構造をもつケイ素化合物(ジアルキルシランイミンなど)にGRRMプログラムを適用し、実際の反応実験を進めるとともに、反応制御のための検討を進めた。また、RuHCl-BINAP不斉触媒系の反応機構の検討と、高選択率発生機構の検討を進めた。 なお、本年度は、上記の計画の進展に必要であると同時に次年度以降の計画の進行にも不可欠な高性能計算機の導入および計算システムの構築のため、当初計画より若干余分の経費を要したが、その導入によって、次年度以降につながる計算環境整備を行うことができた。
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Research Products
(13 results)