2012 Fiscal Year Annual Research Report
開殻分子系の開殻因子、荷電・スピン状態を制御因子とする新規非線形光学物質の設計
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21350011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 雅由 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80252568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 孝史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60324745)
鎌田 賢司 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (90356816)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 開殻系 / ジラジカル / 電場効果 / 非線形光学 / 密度汎関数法 / Ab initio MO法 / 遷移金属 / グラフェン |
Research Abstract |
本年度は、最終年度であり、前年度に引き続いて、(1)多環芳香族炭化水素、(2)遷移金属-金属結合をもつ多核錯体系、の三次非線形光学特性(γ)について、開殻性と分子構造、置換基導入効果の解明、(3)H4モデルによるテトララジカル系の多重ジラジカル因子と三次非線形光学特性の相関、について研究を行った。また、実験家との共同研究では、我々の予測したゼトレン系にドナー(D)/アクセプター(A)置換基を導入した系について置換基効果の検討を行った。以下に結果をまとめる。 (1)六角形および四角形2次元グラフェンナノフレークに形状やサイズの異なる穴をあけたアンチドット構造をもつ系について、開殻性の変化とγに与える影響を検討した。アンチドットのジグザグ端にも奇電子が分布する場合があり、系の開殻性は穴の形状とサイズに依存することが判明した。この結果、穴の設計により系の開殻性を変化させ、γを制御できる可能性を明らかにした。(2)4核以上の拡張遷移金属鎖についてその開殻性とγの関係を検討した。その結果、系の開殻性は2核の場合と同様にσ結合の開殻性に支配されており、γも中間開殻性をもつσ電子の寄与が主寄与であることが判明した。金属間の距離を変化させることでこれらの開殻性を大きく変化させることが可能であるため、実在系ではリガンドの設計により金属間の距離を調整し、γの制御が期待できる。(3)実験によるDA置換ゼトレン系の測定結果は期待ほどのγの増大が得られなかった。原因としてはDA置換位置がジラジカル寄与の方向と垂直であることが考えられる。以上の有機系、無機系についての結果に基づき、ジラジカル因子を通したγ増大/制御の具体的な分子系とその構造の修飾の指針が得られた。今後はさらに超分子マルチラジカル系や他の元素を含有する系への展開を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(104 results)