2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子膜を反応場とした選択的結合切断反応の機構解明
Project/Area Number |
21350014
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 健一郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 名誉教授 (90106162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 徹司 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30259981)
和田 真一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60304391)
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Keywords | サイト選択的反応 / 内殻電子励起 / 軟X線光化学 / 光刺激イオン脱離 / 自己組織化単分子膜 / オージェ崩壊過程 / 反応制御 |
Research Abstract |
申請者らは、内殻励起による特定の結合切断反応の選択性が自己組織化単分子膜(SAM)上において向上することを見出し、その選択性とアルカン主鎖長との関連を精密に調べることによりサイト選択的イオン解離反応の反応機構の全貌を解明することを目的として平成22年度の研究計画を実施した。しかしながら研究執行途上で当初予定したアルカン主鎖長の短いSAM膜より鎖長の長いSAM膜による実験の方が本研究目的を達成するために有効であることが判明し、新試薬の入手に時間を要したため実験研究の遂行に約5カ月の遅延が生じた。以下、平成22年度の研究実績を記述する。 1.新試薬を用いた主鎖長が21(n=21)のSAM膜試料の作成とその評価および予備的な実験を広島大学のHiSORにおいて実施し、内殻励起反応の反応確率は向上するが、結合切断反応の選択性は予想通りやや低下することを確認した。 2.SAM膜の主鎖中に芳香環を挿入したSAM膜試料の実験も並行して行い、内殻励起による結合切断の選択性が向上することを確認した。主鎖中に芳香環を挿入したことにより、反応部位と基板間の伝導性が増し、励起状態の寿命が短くなったために、選択的な速い反応以外の2次的反応が抑制されたことにより選択性が向上したと結論した。 3.理論面からの研究も並行して進めており、上記1、2の実験結果を含めて、申請者がこれまでに提案してきた仮説を支持する新しい重要な知見を見出した。
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