2010 Fiscal Year Annual Research Report
近接場光励起による金属表面の局所電子ダイナミクスの理論
Project/Area Number |
21350018
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
信定 克幸 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 准教授 (50290896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安池 智一 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (10419856)
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Keywords | 局所的電子構造 / 近接場光 / 電子ダイナミクス / 金属表面 / エネルギー散逸 |
Research Abstract |
昨年度、近接場光励起を考える上で最も重要な鍵である光と物質の非一様な相互作用を取り込んだ理論を開発したが、本年度はその理論に基づく数値計算プログラムを作成し、近接場光による銀ナノ粒子の光学応答の計算に適用した。近接場光の空間的非一様性を持った電場勾配を利用することにより、銀ナノ粒子に光学的な力(optical force)を与えることができることを明らかにした。これまでの類似の研究では、極めて簡単なモデル計算に基づいており、それらの研究では照射するレーザー光の共鳴振動数で最大の光学力が発生するとしているが、当該研究では実際に即した銀ナノ粒子を対象として、光と物質の非一様相互作用を正確に取り込んでいるために、レーザー光の振動数に対して複雑に光学力が変化することを明らかにした。この研究成果は、原子・分子レベルで物質操作を行う技術を確立するために重要な指針を与えると考えられる。 上記の研究と並行して、ナトリウムクラスターにおけるプラズモン励起の理論的解明を行った。近接場光を利用した表面プラズモン励起は、エネルギー伝播や太陽光発電等の極めて重要な量子デバイス素子開発に有望とされているが、ナノ粒子におけるプラズモン励起の詳細は必ずしも明らかになっていない。当該研究では、ナトリウム粒子を対象として、粒子の形状やサイズによってプラズモン励起のメカニズムが異なることを明らかにした。また、量子ドット列における励起子ポラリトンの伝播メカニズムの解明も行った。この結果は、近接場相互作用を介した光合成プロトタイプモデル開発に繋がると期待できる。
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Research Products
(10 results)