2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350019
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
江原 正博 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 計算科学研究センター, 教授 (80260149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 信博 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (20153546)
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Keywords | 内殻電子過程 / 電子状態理論 / 共鳴状態 / 脱励起過程 / 表面光化学 |
Research Abstract |
本研究では、内殻電子過程を精密に記述する電子状態理論を開発し、最先端の実験に応用することによって、内殻電子過程の本質を明らかにし、従来の価電子を中心とした研究では得ることが難しかった物理現象や化学概念の理解を深めることを目的としてを研究を行った。 1.内殻二電子空孔状態:内殻二空孔状態から得られる緩和エネルギーや原子間緩和エネルギーの化学概念の体系化を行った。実験と協力して、X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた二光子イオン化分光により、初めて2サイト内殻二空孔状態を観測した。また、内殻二空孔状態に付随するサテライト状態の精密な解析を行った。さらに、内殻二空孔状態からの連続的なAuger緩和で形成される三電子イオン化状態(CVV)・四電子イオン化状態(VVVV)の理論計算を行い、CH_4,NH_3,H_2COなどの分子に応用し、最新の実験スペクトルの解釈を行った。 2.共鳴状態の理論:内殻電子過程では共鳴状態が重要な役割を果たす。複素吸収ポテンシャル法(CAP)の導入を行い、共鳴状態のエネルギー緩和と寿命を計算できるCAP/SAC-CI理論を開発した。まず電子付加の共鳴状態に応用し、方法の領域依存性等の基礎研究を行い、内殻電子過程に展開する基盤を創った。 3.複雑電子状態の理諭:内殻電子過程の後、高エネルギーの状態にある分子では解離反応や緩和過程が進行する。Active space法をscalar relativistic effectを記述する方法と結合し、遷移金属錯体の励起・イオン化状態に応用した。さらに内殻電子過程に適用できるように理論の改変を行った。 4.表面-分子系の分光堂:表面に吸着した分子の束縛エネルギーは大きなシフトを示す。表面-分子系の電子交換を表現する方法を開発し、表面からのback-donationが存在するCO/Cu表面について研究した。
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