2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350024
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 昌巳 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00178576)
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Keywords | 絶対不斉合成 / 有機結晶 / 有機光化学 / 光学活性 / キラル結晶 / 不斉反応 / 結晶構造 / キラルメモリー |
Research Abstract |
無秩序な有機分子が形成する有機結晶を利用したトポケミカル反応は固相光反応が有効な手段であり,我々は基質特異的反応や絶対不斉合成の成功例を報告してきた。ところが,結晶を異相問の分子間反応に応用した場合には,数々の問題があった。そこで,結晶を溶解した後でも分子構造を記憶する分子メモリー機能を用いることにより,結晶相反応では成し得なかった多様な反応系へと有機結晶の利用を拡大してきた。 これまでの研究成果を受けて、分子キラルメモリーを利用した新規絶対不斉合成の開発、高度立体規則的反応の開発、分子認識等の新たな領域の開発に取り組み発展させるために、以下の研究計画にて推進した。 (1)分子メモリーの外的制御:22年度の成果を元に,ラセミ化の活性化自由エネルギーを制御し,高い光学純度でのキラル結晶化と,結晶を溶解した後のラセミ加速度を制御して化学反応を行い,光学活性化合物に導くことができることを明らかにした。 (2)新規キラル分子メモリーの創製と絶対不斉合成の開発:キラル分子メモリーの手法を用いた不斉還元反応,不斉光反応系へ幅広く展開した。例えば,キノロンカルボン酸アミド誘導体は,キラル結晶化に成功しており,タンデム不斉反応への応用に成功した。 (3)結晶化によるジアステレオマー制御:キラル分子メモリーの手法は絶対不斉合成に限らず,ジアステレオ選択的反応へも応用が可能である。ジアステレオマー塩形成による結晶化(CIDT法)により制御された不斉環境を均一系での分子メモリーとして活用した高ジアステレオ選択的反応を開発することができた。 (4)可逆的不斉制御:熱反応と光反応によるアトロプ異性化を可逆的に制御することに成功し,キラルメモリーへと応用し,さらに不斉反応へと展開することができた。
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