2011 Fiscal Year Annual Research Report
チタノセン錯体を合成素子として活用する高度鎖状立体化学制御
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21350026
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
武田 猛 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40111455)
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Keywords | アリルチタノセン / 連続不斉中心 / 第四級炭素 / 立体選択性 / 立体特異性 / チタンカルベン錯体 / ジエニルシラン / 共役トリエン |
Research Abstract |
本年度はアリルチタノセン及びチタンカルベン錯体を利用する立体化学制御について研究し、以下の成果を得た。 1)アリルチタノセンとα位にキラル中心を持つケトンの反応による三連続不斉中心の立体選択的な構築法を開発した。生成するホモアリルアルコールの立体化学はFelkin-Anhモデルで説明される立体化学を持つことが判った。反応の立体選択性は高く、特にα位に置換基を持つシクロヘキサノンとの反応では単一の立体異性体が得られた。 2)アリルチタノセンと環状共役エノンの反応により得られるシクロアルケノールの立体化学を単結晶X線構造解析により詳細に検討し、アルキル基が置換したアリルチタノセンとフェニル基が置換したアリルチタノセンの反応で生成するシクロアルケノールの立体化学が異なることを明らかにした。 3)γ,γ-二置換アリルスルフィドのチタノセン(mの反応は立体特異的に進行し、生成したアリルチタノセンとケトンの反応によりanti体とsyn体の連続する二つの四級炭素を持つホモアリルアルコールをそれぞれ立体選択的に合成することに成功した。 4)β位にシリル基が置換したチタンカルベン錯体とケイ素置換アルキンの反応によるケイ素置換共役ジエンの立体選択的合成について検討し、位置異性体の混合物が立体選択的に生成することを見出した。さらにベンジルジメチルシリル基が置換したアルケンの銅(I)塩により促進されるアルキル化反応を新たに開発し、上述の反応と組み合わせ用いることによる新規不飽和化合物の立体選択的合成法を開発した。 5)アルケニルカルベン錯体とα,β-不飽和エステルの反応による共役トリエンの合成法を開発した。アルケニルカルベン錯体及び不飽和エステル由来の二重結合は立体保持で、新たに生成する二重結合はZの立体化学を持つ立体異性体が優先的に生成した。反応をシリルエステルに拡張することにより、エノールシリルエーテルを合成することができた。
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