2011 Fiscal Year Annual Research Report
電荷移動系ナノコンポジットの電子精密制御による導電性分子磁石の開発
Project/Area Number |
21350032
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮坂 等 金沢大学, 物質化学系, 教授 (50332937)
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Keywords | 電荷移動 / ナノコンポジット / 導電性分子磁石 / 電子供与体 / 電子受容体 |
Research Abstract |
IV)2:1型ナノコンポジットの孤立分子系の設計 [Ru_2^<II II>]錯体は、大きな磁気異方性を持つため、その集積体の磁気特性から[Ru_2^<II III>]-TCNQ^-及び[Ru_2^<II III>]-TCNQ^-間の磁気的相互作用(強磁性か反強磁性か)を判断することは極めて難しい。現在までに得られた多次元化合物においても、この課題は克服されていなかった。そのため、より単純にdiscrete系での磁気評価が求められていたが、今回、次元性は上がるものの、同様に磁気的評価が比較低容易な一次元系において、電荷移動型(イオン型)のD^+A^-化合物を得ることに成功し、その磁気的評価から[Ru_2^<III>]-TCNQ^-間で強い反強磁性的相互作用(一次元系では、フェリ磁性スピン配列)が存在していることを明らかにした。この成果により、今までの二次元、三次元D_2A-電子移動型の高次構造体における磁気秩序が、強磁性体ではなく、フェリ磁性体として解釈すべきであることが初めて立証された。 V)二次元磁性層間における導電性発言を目指した分子設計(分子挿入) D_2A型二次元層状化合物にピレンやアンタラセンを挿入した化合物を合成することに成功した。ピレンが挿入された化合物では、挿入により電荷移動が阻害されるという極めて興味ある結果を得た。これは、骨格をつくるTCNQF_4とピレンとの相互作用により、フロンティア軌道が形成され、アクセプターのLUMOレベルが上昇したことに起因する。このように、層間物質との相互作用により、D_2A格子の電荷移動が制御される新しい系の発見に至った。 次にアントラセンが層間に挿入された化合物は、脱溶媒後も二次元層状構造が安定に保持されることが明らかとなった。しかも、層間にπスタックしていたアントラセン分子が溶媒脱離により空洞化したスペースに移動するという現象が明らかになった。
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Research Products
(15 results)