2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 健 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30235105)
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Keywords | 水素エネルギー / 水可視光分解 / 太陽光エネルギー変換 / 白金錯体 / ルテニウム錯体 / 光誘起電子移動 / 水素生成触媒 / 光水素発生デバイス |
Research Abstract |
研究計画調書に従い、白金錯体を水素発生触媒とする新規な単一分子光水素発生デバイスの合成と機能評価を展開した結果、以下に述べる幾つかの価値ある研究成果を得た。光増感部位-水素発生触媒部位からなる2機能型光水素発生デバイスにおいて、電子受容サイトとなる触媒部の有機配位子に強い電子吸引性を示す置換基を導入することで、既存のデバイスよりも高い活性を示す新規デバイスを開発することに成功した。この研究では、電子受容サイトのπ*軌道を安定化させ、光増感部位から触媒部位への円滑な電子移動が活性向上のための鍵因子であることが改めて示された。また、ナノ秒、及びピコ秒の発光減衰測定により、光を駆動力とした電子移動反応の速度定数におけるpH依存性や犠牲還元試薬の濃度依存性などを評価することに成功した。水素発生触媒部位に関する研究においては、どのような構造を有する白金錯体が触媒反応中により高い安定度を示すと期待されるかを評価することにも成功した。その研究では、アミン系配位子を有する白金錯体に比べ、ピリジン系配位子を有する白金錯体の方が格段に高い安定性を持つことを明らかにした。加えて、水素生成の条件下において、各種の白金錯体が分子状水素との相互作用によって分解する反応が無視できることも示した。更に、犠牲還元試薬を必要としない水素発生システムの構築の一環として、光化学的な酸素発生を駆動する錯体触媒の創製にも成功した。その研究では、分解生成物であるコロイド種より錯体触媒種の方が高い活性を有すことが示され、コロイド種が活性種であるという懐疑的な見方を否定することに成功した。
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Research Products
(62 results)