2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350039
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤浪 眞紀 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (50311436)
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Keywords | 陽電子 / マイクロビーム / 原子空孔 / 二次元分布 / 塑性変形 / 転位 / 金属 |
Research Abstract |
本研究では,今年度,数μmサイズの陽電子ビームを試料表面上に走査し,空孔型格子欠陥二次元分布を得る陽電子プローブマイクロアナライザー(Positron probe microanalyze, PPMA)を開発することを目的とした。そのための光学系を開発し,現在10m径のビーム径が開発できている。それと同時に本法の有用性を示すことが重要であることから,PPMAにより高純度鉄の塑性変形によって誘起される欠陥分布測定と添加した銅の析出の検出を試みた。 試料はダンベル形状に加工した後,欠陥除去し,表面を電解研磨した99.997%の高純度鉄を用いた。引張試験機により20%変形および破断(23%変形)した。欠陥は不純物元素との反応が重要であることから脆化を促進する銅を1wt%添加した試料を変形し,破断させたものを作製し測定に供した。 高純度鉄試料では,変形によりγ線プロファイルパラメーターであるS値は上昇し,転位を主とした空孔型欠陥の導入が検出された。しかしながらその分布は不均一であり,その濃度は一定ではないことが新たにわかった。また,20%変形材では複数の箇所でS値が局所的に上昇していた。これは割れの前駆現象を反映しており,本法により破断予測が可能といえる。破断部近傍では,1mm範囲にわたってさらに高いS値を示しており,それは空孔型欠陥の集合体の形成が示唆された。銅添加試料において変形のみでは高純度鉄試料の結果とほとんど差は観察されず,転位への銅の偏析や析出は起こっていない。真空中でアニール処理をしたところ無変形部では550℃以上で銅の析出が確認されたが,変形部において破断部周辺では200℃から,ゲージ部では250℃で銅の析出が観察された。これは誘起された欠陥によって銅の拡散が促進され,析出が低温で誘起されたと考えられる。
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Research Products
(12 results)