2010 Fiscal Year Annual Research Report
モーメント理論に基づくクロマトグラフィー挙動解析基盤技術の確立
Project/Area Number |
21350040
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
宮部 寛志 富山大学, 理工学研究部(工学), 教授 (10281015)
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Keywords | クロマトグラフィー / 分離化学 / モーメント理論 |
Research Abstract |
1.液境膜物質移動係数測定法の開発 モノリスカラムを用いるHPLC系の液境膜物質移動係数を測定した。固定相として全多孔性C_<18>-シリカモノリス、移動相として70vol%メタノール水溶液、試料物質としてブチルベンゼンを用いる逆相液体クロマトグラフィー系でパルス応答実験及びピークパーキング(PP)実験を行い、ピーク幅の広がりを解析して液境膜物質移動係数を求めた。その際、PP実験データによりピーク幅の広がりに対するモノリス骨格内拡散の影響を補正した。実測した液境膜物質移動係数と各種推算式による推算値を比較した結果、既往の推算式がモノリスカラムを用いるHPLC系の液境膜物質移動現象解析にも適用できることを確認した。 2.ピーク非対称性補正法の開発 カラム内における固定相の充填状態は「壁効果」の影響によリカラム半径方向に必ずしも均一ではない。そして、カラム内充填層構造の半径方向不均一性に伴う移動相流速とカラム局所効率の半径方向不均一分布が非対称性ピーク発現の原因の一つであることが実験的及び数値解析的に確認されている。そこで、実測テーリングピーク形状を解析して移動相流速とカラム局所効率のカラム半径方向分布、及びクロマトグラフィー挙動に関する正確な情報を得ることができる解析法を開発した。先ず、カラム放射方向における移動相流速とカラム効率(理論段高)の分布を種々変化させ、様々な形状の非対称性ピークを数値解析的に計算した。その結果に基づき、カラム放射方向不均一性と非対称性ピーク形状の関連性を解析した。次に、上記のアプローチとは逆に、実測テーリングピークの形状から真の(「壁効果」の影響を受けていない)カラム効率、カラム半径方向の移動相流速とカラム効率の分布に関する情報を求める解析方法を開発した。最後に、上記で開発した数値解析法を用いて過去の文献情報を解析し、その妥当性を実証した。
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Research Products
(12 results)