2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン性配位子/金属アルコキシド系触媒を用いるアルコール化学変換の新展開
Project/Area Number |
21350052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90273268)
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Keywords | 分子触媒反応 / アルコール変換 / プロトン性配位子 / 金属アルコキシド / 環境負荷低減 / 炭素-炭素結合形成反応 / 炭素-酸素結合形成反応 |
Research Abstract |
様々な有機アミノ金属アルコキシド錯体(R_2NH)M(OR)種や(NHC)M(OR)種(NHC=N-Heterocyclic Carbene)が、アルコールの触媒的化学変換において、廃棄物ゼロエミッション型の反応(主たる廃棄物が水、あるいは無し)に有効であることを見出した。なかでも、(pincer型bis-NHC)Pd(OR)/CsOH触媒が、2種の異なるアルコール間の脱水的C-C結合形成に高活性を示すことを見出した。触媒回転数は最高で25程度である。反応中間体の還元過程において、MPV還元が含まれるという新知見を得た。(2)アミド類の加溶媒分解反応において、(R_2NH)B(OR)系触媒(AminoOrganoBoron(AOB)触媒)はアルコールの大きさやpK_aを分子認識することを見出した。MeOHとEtOHさえも識別し、MeOHのみが選択的に、活性アミドを加溶媒分解する。またAOBはアルコールのみならず、β-dicarbonyl構造を、他の官能基群のなかから選択的に識別し活性化する。その結果、高い基質汎用性と官能基選択性を示すことが明らかとなった。(3)Cs(OR)種とアルコール、CH_2Cl_2、およびCO_2(1atm)を用いる炭酸エステルの合成法を達成した。これまで、強酸や強塩基が必要だと考えられてきた反応が、実はそうではなく、ほぼ中性pHの反応条件下でも触媒構造の精密な分子デザインによって触媒作用が発現することを証明した。特に、(R_2NH)M(OR)構造は弱酸と弱塩基の両機能を同時にもつため、ほぼ中性pHの反応条件を提供する。弱酸と弱塩基に基づく触媒設計によって可能となる、「ほぼ中性pH」の優位性を多彩な反応で示したといえる。遷移状態では効果的な水素結合ネットワークが形成され、水素移動が円滑に進行すると想定している。
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