2009 Fiscal Year Annual Research Report
非ホスフィン系N4配位子を用いるケトン類の触媒的不斉水素化
Project/Area Number |
21350053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 Nagoya University, 特質科学国際研究センター, 教授 (50169885)
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Keywords | 窒素系配位子 / Ph-BINAN-H-Py / ルテニウム / 不斉水素化 / 反応機構 |
Research Abstract |
錯体への触媒機能の附与においてその配位子は中核的役割を担う。本研究では、改めて標的反応の歴史的背景を見直し、sp^3P系配位子と時を同じとする窒素系配位子を再検証するべく、四座配位子R-BINAN-R'-Py(3,3'-R,R-N2,N2'-ビス(6-R'-ピリジン-2-イルメチル)-1,1'-ビナフチル-2,2'-ジアミン)の開拓をすすめてきた。平成21年度の交付申請書に記載のように、3,3'位への置換基の導入が鍵を握り、まずその効率的合成法の確立を行った。光学活性体の入手が容易な(R)-BINANを出発原料に、(1)オルトリチオ化、(2)ヨード化条件を最適化した。アニリンの例を参考に、脱着が容易でオルトリチオ化を促進することが知られているt-ブトキシカルボニル(Boc)基をメタル化配向基に取り上げ、選択的オルトリチオ化条件を検討した結果、n-BuLi/t-BuLiを組み合わせることによって、モノリチオ体をほぼ定量的に得られることがわかった。得られたリチオ体を乾燥ヨウ素と反応しモノヨード体へと変換後、鈴木-宮浦カップリング反応により3位にフェニル基を定量的に導入した。この操作を繰り返した後、Boc基を除去し、Ph-BINANをBINANから全収率84%で合成することができた。3,3'位置換基の自由自在修飾に基づく対称・非対称誘導体へと展開し、R-BINAN-R'-Pyライブラリーを充実化した。次に、代表標的配位子としてPh-BINAN-H-Pyを取り上げ、その金属錯体の調製を行い、マンガン、鉄、銅、ルテニウム錯体等の結晶を得、そのX線回折実験からいずれもcis-α構造であることを確認した。ルテニウム錯体は芳香族ケトン類の高エナンチオ選択的水素化に有効であり、cis-α異性体生成の優位性が示された。
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