2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能オレフィン系ポリマーの創製を指向した高性能チタン錯体触媒の設計・合成
Project/Area Number |
21350054
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 准教授 (20304165)
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 配位子設計 / 新規ポリマー / エチレン系ポリマー / 均一系触媒 / 機構解析 |
Research Abstract |
本課題は従来触媒による配位重合では合成不可能な新しいオレフィン系ポリマーの精密合成を可能とする高性能チタン錯体触媒の設計・創製に関する。特に平成21年度は、申請者の今迄の成果を基盤に、高性能分子触媒の新しい触媒設計指針の確立を主目的に取り組み、以下の成果を得た。 新しい高性能チタン錯体触媒の創製を目的に、シクロペンタジエニル(Cp)配位子より電子供与性に優れるヒドロトリス(ピラゾリル)ボレート(Tp)配位子、及びアリロキソ配位子を有するチタンージクロロ錯体を合成し、エチレン重合における触媒活性へのアリロキソ配位子上の置換基効果を検討した。フェノキシ酸素のortho-位に1つのイソプロピル基を有する錯体が最も高活性を発現し、2置換錯体では活性の著しい低下がみられた。また、MAO助触媒存在下、別途合成したチタンージメチル錯体を用いるエチレン重合がリビング挙動をとること、ホウ素化合物との反応により生成するメチルカチオン錯体が、少量の有機アルミニウム化合物の存在下でも、エチレン重合に高い触媒活性を示すことを明らかにした(平成22年3月、触媒討論会発表他)。 今迄の成果を基盤に、各種アニオン性支持配位子を有するハーフメタロセン型のチタン錯体の合成・同定と触媒機能に関する研究に取り組んだ。特に置換ピラゾラート配位チタン錯体のCp配位子上を修飾することで、エチレン重合からスチレンの立体特異性重合に高活性を発現する錯体へ変換できた。他のアニオン性支持配位子を有する錯体の合成・同定と各種オレフィン(共)重合を検討中である。
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