2010 Fiscal Year Annual Research Report
高機能オレフィン系ポリマーの創製を指向した高性能チタン錯体触媒の設計・合成
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21350054
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野村 琴広 首都大学東京, 理工学研究科・都市教養学部, 教授 (20304165)
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 配位子設計 / 新規ポリマー / エチレン系ポリマー / 均一系触媒 / 機構解析 |
Research Abstract |
本課題は、従来触媒による配位重合では合成不可能な新しいオレフィン系ポリマーの精密合成を可能とする、高性能チタン錯体触媒の設計・創製に関する。特に平成22年度は、今迄の成果を基盤に、高性能分子触媒の新しい触媒設計指針の確立を主目的に取り組み、以下の成果を得た。 各種アニオン性支持配位子を有するハーフメタロセン型のチタン錯体の合成・同定と触媒機能に関する研究に取り組んだ。特に配位子上の置換基の異なるピラゾラート配位チタン錯体の合成・同定と各種オレフィン重合に取り組み、配位子上の置換基の修飾により、従来触媒より効率よくエチレンと環状オレフィンとの共重合を進行させる触媒やエチレンとスチレンとのリビング共重合を進行可能とする高性能触媒の創製に成功した。また、より高性能触媒の創製を目指して、各種シクロペンタジエニル配位子及び(イミノイミダゾリジドなどの)各種イミン配位子を有するチタン錯体を合成・同定した。現在、各種オレフィン重合に取り組んでいる途上である。 アニオン性のキレート多座配位子を有するチタン錯体と有機アルミニウムからなる2核アルキル錯体を合成・同定・構造決定した。同錯体が、(従来触媒では過剰量必要な)助触媒の非存在下であっても、加熱をすることでエチレン重合触媒として機能することを明らかにした。加熱により二つのチタン-酸素結合が解離することで触媒活性種が生成する新しい機構を提唱した。 以上の成果を基盤に、触媒の特徴を生かした新規ポリマーの創製にも取り組む予定である。
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