2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素および炭素-酸素結合を利用した多置換共役芳香族化合物の迅速合成法の開発
Project/Area Number |
21350056
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 Keio University, 理工学部, 教授 (70252591)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70396779)
|
Keywords | π共役芳香族化合物 / 炭素-水素結合切断 / 炭素-酸素結合切断 / 遷移金属触媒 / ポリアセン類 / グラフェン類 / 有機半導体 / 有機光学材料 |
Research Abstract |
本年度は課題1「多置換アセン類の新規迅速合成法の開発に関する研究」と課題2「グラフェン類の新規迅速合成法の開発に関する研究」について検討を行った。 課題1:ルテニウム触媒存在下、アントラキノンとアリールホウ素化合物とを反応させることにより、テトラアリール置換アントラキノンの合成を達成した。これら生成物を還元的に芳香族化することにより、対応するアントラセン誘導体へ変換できる新手法の開発に成功した。アリール化以外にもオレフィンとの反応によるアルキル化を利用した変換反応も可能であることを見出している。これら一連の化合物は、有機溶媒への溶解度が高いなど、関連する化合物が持つ物性とは異なる性質を持つことも明らかにできた。課題1の目的はほぼ達成できたといえる。 課題2:芳香環がディスク状に縮合したグラフェン類は有機電子材料への利用が期待されている。通常これら化合物の合成には、目的に合った官能基の導入、それらを用いた官能基変換などを経るため、多段階にわたる合成が必要である。このため、既存の方法を用いて様々な化合物を合成することは困難である。本検討では、次の3段階を経てグラフェン類を合成する迅速合成法の開発を目指して検討した。まず、アセトフェノン類を出発物質に用いることにより、オルト位にアリール基の導入を行った。次いで、得られた生成物を用いてアセチル基の脱水三量化反応を行うことにより、新しくベンゼン環を構築した。最後に芳香族炭素-水素結合間で脱水素型酸化反応を行うことにより、芳香環同士を縮合させ、ディスク状構造を持つグラフェン類への変換を検討した。第2段階までは、計画に即した方法で化合物を合成することができたが、最後の段階の反応条件の最適化が現段階では不十分であり、目的の化合物を選択的に合成できる反応条件の設定には至っていない。次年度も継続して検討する計画である。
|
Research Products
(7 results)