2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350059
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
熊木 治郎 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 教授 (00500290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 辰樹 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60135671)
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Keywords | 非共有結合高分子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
イソタクチックおよびシンジオタクチックポリメチルメタクリレート(it-,st-PMMA)は、ステレオコンプレックス(SC)を形成する。その構造は、原料の分子量に明確に依存したサイズを持つ多重らせんの超分子構造であり、らせん間の純粋なトポロジカル的相互作用に基づいて形成されていると考えられる。本系を用いれば、金属配位結合や水素結合などの非共有結合を用いない全く新しい超分子構造の創製が期待できる。本研究では、精密に合成した均一ステレオブロック共重合体等を用いて超分子多重らせんの形成メカニズムの解明と新規高分子超分子構造の設計を実施することを目的とし研究を進めている。また、ポリ乳酸(PLA)等の多重らせんに基づかないSC系についても検討を進める予定である。本年度は、以下の結果を得た。 1.末端に水酸基を有する立体規則性PMMAを合成し、超臨界クロマトグラフィーを用いて重合度分別し、均一PMMAを単離した。末端のエステル化反応によって、フェニル基をlinking単位とする均一ステレオブロックPMMAを合成・単離した。得られた均一ステレオブロックPMMAからLangmuir-Blodgett(LB)法を用いてSCを形成させた結果、SCはブレンドと同様に明確なサイズを持った超分子構造を形成し、そのサイズからit-PMMAブロック2分子で2重らせんを形成し、その周りにst-PMMAのブロック鎖が巻きついてSCを巧みに形成していることがわかった。今後、分子量やit/stの組成依存性を検討して、構造をさらに明確化し、超分子の設計指針に結び付ける。 2.PMMAのSC形成と化学反応(クリック反応)を組み合わせることでさらに高度な構造形成を行うことを目的に、クリック反応可能な反応性基を有する立体規則性ポリメタクリル酸プロパギルの合成法を確立し、そのクリック反応により高分子誘導反応が可能なことを確認した。SC形成による構造制御を目指す。 3.D-,L-PLAからなるSC形成をLB法を用いて検討し、SCの構造を分子レベルで初めてAFM観察することに成功した。PLA系は多重らせんに基づかないSC系であり新規な超分子構造設計を目指して検討を進める。
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