2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350059
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
熊木 治郎 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00500290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 辰樹 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60135671)
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Keywords | 非共有結合高分子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
イソタクチックおよびシンジオタクチックポリメチルメタクリレート(it-,st-PMMA)は、ステレオコンプレックス(SC)を形成する。その構造は、原料の分子量に明確に依存したサイズを持つ多重らせんの超分子構造であり、らせん間の純粋なトポロジカル的相互作用に基づいて形成されていると考えられる。本系を用いれば、金属配位結合や水素結合などの非共有結合を用いない全く新しい超分子構造の創製が期待できる。本研究では、精密に合成した均一ステレオブロック共重合体等を用いて超分子多重らせんの形成メカニズムの解明と新規高分子超分子構造の設計を実施することを目的とし研究を進めている。また、ポリ乳酸(PLA)等の多重らせんに基づかないSC系についても検討を進めている。本年度は、以下の結果を得た。 1. ステレオコンプレックスのit/st比(1:2)を念頭におき、it/st組成比1:2の均一ステレオブロックPMMAを得るため、重合度が2倍異なる末端に水酸基を有する均一it-およびst-PMMAを超臨界クロマトグラフィーを用いて単離した。今後、縮合反応を行い、均一ステレオブロックPMMAを合成し、Langmuir-Blodgett(LB)法を用いたSCの形成とその構造を精査し、超分子の設計指針に結び付ける。 2. D-,L-PLAからなるSC形成をLB法を用いて検討し、SCの構造を分子レベルで初めてAFM観察できることを見出している。分子量の異なるPLAからSCの形成を検討し、低分子量体では、PLAの単独伸び切り鎖結晶が形成された後、SCが形成されるのに対して、高分子量体では、単独結晶を経ずにSCが形成されることが分かった。低分子量体を用いた場合、単独伸び切り鎖結晶からどのようにSCの結晶に転移するかを詳細に検討可能であり、検討を進めている。 3. クリック反応可能なアルキン基あるいはアジド基を有する立体規則性ポリメタクリル酸エステルならびにステレオブロック共重合体の合成法を確立した。今後、ステレオコンプレックス形成をトリガーとし、クリック反応による構造制御を目指す。
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