2011 Fiscal Year Annual Research Report
高世代の樹木状多分岐構造を有するメガ分子の精密合成と機能化
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21350060
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平尾 明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00111659)
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Keywords | 樹木状多分岐高分子 / リビングアニオン重合 / 樹木状多分岐ブロック共重合体 / 機能性ポリマー / 分子重合体 / 精密合成 |
Research Abstract |
平成22年度に開発した新しい繰り返し法と従来法を組み合わせることで、各世代に交互、あるいは目的通りの世代に2種の異なったポリマー鎖を導入した樹木状多分岐構造を有する高分子の合成を行った。その結果、世代毎に異なったポリマー鎖からなる層構造を有する新規の3次元ブロック共重合体の精密合成に初めて成功した。ブロック共重合体を構成するポリマー鎖として、ポリスチレンとポリ(tert-ブチルメタクリレート)を選び、上記ブロック共重合体の合成を行い、これら2種のポリマー鎖を各世代に交互、及び目的通りの世代に導入することに成功した。ポリスチレンは疎水性を示す一方、ポリ(tert-ブチルメタクリレート)は温和な条件で選択的に加水分解して、定量的にポリ(メタクリル酸)に変換した。これにより、ポリマー分子に水溶性、酸性、あるいはアニオンといった多彩な機能を付与する。 上記で合成した3-5世代の樹木状多分岐高分子は、分子量は設計通りの値であり数百万に達し、単分散に近い分子量分布を有している(Mw/Mn<1.05)。ここで導入したポリ(teet-ブチルメタクリレート)を選択的に加水分解して、親水性のポリ(メタクリル酸)に変換する。得られたポリマーの溶解性は大きく変化して殆どの有機溶媒に不溶となり、塩基性の水溶液やメタノールに膨潤する結果となった。様々な選択溶媒や混合溶媒を試してみたが、目的としている可溶性のミセルや分子集合体を得ることは出来なかった。また電子顕微鏡観察で相分離構造は確認出来たが、不溶性のため均一なフィルムの調整が困難なため、明確な像を得るには到らなかった。現在加水分解の条件を選択溶媒で行い、可溶性の分子集合体を調整中である。また、内側や一番外側の世代に、ポリ(2-ビニルピリジン)やポリ(フェロセニルメチルメタクリレート)、さらにポリ(パーフルオロアルキルメタクリレート)の導入に成功し、樹木状多分岐高分子に塩基性、カチオン性、酸化一還元能、触媒特性、疎水性、表面の疎水と疎油特性を付与した新しい機能性多分岐構造を有する高分子の精密合成に成功し、現在、それらのモルホロジーや自己組織化による分子集合体創製を目指している.
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