2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機ホウ素錯体を用いた共役系構造体の構築とその諸機能
Project/Area Number |
21350062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中條 善樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (70144128)
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Keywords | ホウ素錯体 / ヘテロ元素含有高分子 / 発光性高分子 |
Research Abstract |
近年、四配位型有機ホウ素錯体は吸光係数が大きく、優れた安定性や発光特性を示すことから有用な有機色素材料として注目されている。なかでも、ケトイミンホウ素錯体はホウ素-窒素結合の影響で、強い凝集誘起型の発光を示すことやケトイミンの持つ互変異性(エナミノケトン体-エノールイミン体)の平衡がエナミノケトン体の優勢な状態からエノールイミン体の優勢な状態に偏ることなどがこれまでの研究から明らかになっている。一方で、主鎖にケトイミン構造を有する共役系高分子は、ケトイミン部位が互変異性(エナミノケトン体-エノールイミン体)を有するため、高分子主鎖内において線形共役型と交差共役型の電子状態が混成していると予想される。したがって、高分子主鎖にケトイミン構造を有する共役系高分子のケトイミン部位をホウ素錯体化し、互変異性の平衡をエノールイミン型に偏らせることによって、有効に主鎖共役の拡張が可能であると考えられる。また、これまでにケトイミン構造を主鎖に含んだ共役系高分子において、主鎖共役の拡張を明らかにした報告例はなく、本研究では上記の要件を満たすポリマーを合成し、その機構について解明することを目指した。そこで、ケトイミンまたはケトイミンホウ素錯体を主鎖に有する共役系高分子を合成し、光学特性を測定することで主鎖を介した共役系の拡張を評価した。そして、ホウ素の配位による主鎖共役への影響を調べた。その結果、ケトイミンホウ素錯体は強い凝集誘起型の発光を示した。よって、得られるポリマーは優れた高分子系固体発光材料として期待できる結果を得た。さらに、ケトイミン部位は様々な元素と錯形成可能であり、異なる元素と錯形成させることができ、主鎖共役や発光特性の制御、新たな機能性の付与が可能となった。
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