2009 Fiscal Year Annual Research Report
隣接トリカルボニル骨格のRedox系を利用した新規機能性高分子の創製と応用
Project/Area Number |
21350068
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
遠藤 剛 Kinki University, 分子工学研究所, 教授 (40016738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 篤 近畿大学, 分子工学研究所, 准教授 (20293053)
森野 一英 近畿大学, 分子工学研究所, 講師 (00362286)
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Keywords | 高分子合成 / 隣接トリカルボニル / レドックス |
Research Abstract |
トリカルボニル化合物の一種であるalloxan(A)が、水存在下、水和体(A-hydrate)を形成し、さらに紫外光の照射により、alloxanラジカル(A・)を生成した後、二量化してalloxantin(AT)を形成することが知られている。申請者らは、A・やATを用いたキノンの触媒的な還元サイクルの構築に成功している。以上の背景を踏まえ、本研究では、直鎖上の隣接トリカルボニル骨格が組み込まれた高分子を構築し、これまでに前例のない酸化還元性高分子の開発を目指す。本年度は、低分子芳香族トリカルボニル化合物の合成およびその水和反応について検討を行い、得られた知見をもとに側鎖に隣接トリカルボニル構造を有するポリスチレン誘導体の合成を行った。低分子トリカルボニル化合物には1,3-ジフェニルプロパントリオン(DPPT)を選択した。DPPTは、1,3-ジフェニルプロパン-1,3-ジオン(DPPD)をN-ブロモコハク酸イミド(NBS)およびジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて酸化することにより収率95%で得られた。DPPTは水を含むアセトン溶液中で水和が進行し、定量的にDPPTの水和体(DPPT-OH)を与えた。また、固体状態でも水和は進行した。一方、DPPT-OHは昇華もしくはMS4A存在下における乾燥クロロホルム中で脱水が進行し、DPPTへと定量的に戻ることも分かった。次に、DPPT骨格を有するポリスチレン誘導体(PDPPT)の合成を行った。ビニル基を有するDPPD誘導体のAIBNを用いたクロロベンゼン中でのラジカル重合により対応するポリマーが収率85%で得られた。さらに、得られたポリマーをNBSおよびDMSOを用いて酸化することにより高分子量のPDPPTが収率98%で得られた。PDPPTはDPPTと同様に可逆的な水和脱水反応が可能であった。
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Research Products
(5 results)