2011 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素の特性を最大限に活用した、次世代材料の基幹となりうる革新的コア化合物の開発
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21350070
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
海野 雅史 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20251126)
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Keywords | シリコーン / 反応性シルセスキオキサン / 耐熱材料 / 高輝度LED |
Research Abstract |
本年度は提案した物質群のうち、側鎖に反応性の置換基を有するラダーシロキサンのCaterpillarならびにGeckoについて出発物の検討を中心に研究を行った。 まず、本材料の原料となる環状シラノールの合成検討を行った。これまでに用いた置換トリクロロシランからの加水分解・脱水縮合反応における収率は30%程度であり、出発物として用いる化合物の合成法としては十分とは言えない。いくつかのグループから、環状シラノールの前駆体となり得るナトリウム塩の合成が報告されており、収率も良いことから、一旦ナトリウム塩を合成し、酸によりシラノールへと導く方法を検討した。ナトリウム塩からシラノールへの段階で多少の条件検討が必要であったが、最終的に従来法を十分に凌ぐ70%以上の収率で目的の環状シラノールを得ることができた。置換基としてはメチル基、エチル基、イソブチル基、フェニル基、ビニル基、ヘキシル基、オクチル基、オクタデシル基のものについて合成できた。 次に、得られた環状シラノールを原料として、3環式のラダーシロキサンの合成を行った。これらはいずれもラダー骨格を有すると同時に反応性の置換基を持ち、高耐熱性ポリマーの原料となりうる化合物(Gecko)である。 また今回は、新たな試みとして、新しいタイプのモノマー合成として、分子内にビニル基とヒドロシリル基を有する環状シロキサンを合成した。これまではラダーシロキサンを合成する際は2種類のビニルシランとヒドロシランを用いて反応させていたが、下記の化合物を用いれば、単一の化合物の自己縮合により、ラダーシロキサンへと導くことができる。したがって、原料合成のコストや精製の手間を削減し、より容易に材料合成が可能になる。この反応で予想される生成物は、環状シロキサンを架橋したような構造をしており、3次元ラダーの形になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初提案したOctopus、Gecko、Caterpillar、Janus Cubeの4つの化合物群のうち、OctopusとGeckoについては、既に合成が可能となっており、残るCaterpillarとJanus Cubeについても、前駆体の高収率合成に成功した。本年度はさらに、上記提案化合物群に加え、簡便に合成でき、同等以上の耐熱性を持つことが予想できるポリマーの前駆体の合成にも成功しており、当初の計画以上の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度高収率で得ることに成功した環状シロキサンから、残るCaterpillarとJanus Cubeの合成を行う。得られた化合物群の耐熱性、耐光性、吸光特性を検討し、具体的な材料(高輝度LEDの封止材)等に応用できるよう検討を行う。 また、提案の4つの化合物群にとどまらない、簡便でポリマーの高収率合成が可能なモノマーの開発、シロキサン結合を形成するための新しい反応の開拓などを並行して行なっていく。
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Research Products
(26 results)