2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素の特性を最大限に活用した、次世代材料の基幹となりうる革新的コア化合物の開発
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21350070
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
海野 雅史 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20251126)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シリコーン / 反応性シロキサン / 耐熱材料 / 高輝度LED |
Research Abstract |
本研究では、申請者がこれまでに報告してきた、高度に構造が規制されたシロキサン化合物の合成研究の発展として、その特性を最大限に活用した、「次世代材料の基幹となりうる革新的コア化合物の開発」を目的とする。 この目的に基づき、本研究計画で定めた具体的なターゲットは以下の4種の化合物群である。 ・8個の反応性置換基を有するかご状 オクタシルセスキオキサン('Octopus') ・分子の両端に反応性置換基を有するラダーシロキサン('Gecko') ・分子の外側に多数の反応性置換基を有するラダーシロキサン('Caterpillar') ・分子の両端に無機物と有機物それ ぞれと反応する置換基を持つオクタシルセスキオキサン('Janus Cube')。 上記化合物群のうち、昨年度までに、OctopusならびにGeckoの合成は行った。本年度は以下の様な新たな結果を得ている: Caterpillar: 反応性置換基をビニル基に定め、原料となるビニル基を有するポリシラノール前駆体の合成を行った。ケイ素に結合したビニル基は反応性を持つため、従来法では置換基の脱離が起き、反応が進行しなかったが、温和な条件を適用することにより、ビニル置換の環状シロキサンを合成、X線構造解析によりその構造を確認することができた。 Janus Cube: 異なった置換基を有する環状シラノール2種類を脱水縮合することにより目的物を合成する方法を検討したが、現在まで行った反応条件によれば複雑な混合物が得られるのみで、目的物は得られていない。今後合成法そのものを昨年度開発した脱水素縮合に変更し、合成を試みる予定である。 また、昨年度は当初提案した化合物群に加え、2種類の置換基を有するかご状ヘキサシルセスキオキサンである"Janus Prism"を新たに合成し、X線構造解析により、その構造を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初提案したOctopus、Gecko、Caterpillar、Janus Cubeの4つの化合物群のうち、OctopusとGeckoについては、既に合成が可能となっており、残るCaterpillarについても、前駆体の高収率合成に成功した。また、Janus Cubeについてはこれまで試みた方法では合成ができなかったが、本年度に新たに開発した、ヒドロシランとシラノールから高収率でシロキサンを合成できる方法を適用することで、合成が可能になると考えている。本年度はさらに、上記提案化合物群に加え、2つの異なった置換基を有するヘキサシルセスキオキサンである"Janus Prism"を新たに合成し構造決定を行った。今後さらに異なった置換基の化合物を合成し、成果に加える予定である。以上のように、当初の計画以上の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は残っているJanus CubeとCaterpillar、さらに本年度から加えたJanus Prismについて、引き続き合成を行なっていく。また、次年度は最終年度となるため、これまで得た化合物をもとに、高機能材料への展開も図る。具体的には、反応性置換基を持つラダーシロキサンGeckoを多分子で反応させることによりシリコーンポリマーへと導く。このポリマーは透明性が高く、また、はしご構造を有することにより高い耐熱性が期待できる。そこで、現在新たな高機能材料が求められている高輝度LEDの封止材としての応用を検討する。また、Octopusの新たな応用として、側鎖を利用したホスト分子、あるいは金属錯体の配位子としての応用への展開も図る。
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Research Products
(14 results)