2010 Fiscal Year Annual Research Report
高励起状態生成をトリガーとして機能する分子素子の開発
Project/Area Number |
21350075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤塚 守 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40282040)
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Keywords | 高励起状態 / 電荷分離 / 自由エネルギー依存性 / 再配向エネルギー / ポルフィリン / ポルフィセン / ヘミポルフィセン / Marcus理論 |
Research Abstract |
本研究計画では、高励起状態からのみ進行する化学反応を検討することで分子素子へ展開可能な光機能性分子の創製を図る。高励起状態の生成は、短波長レーザー照射、照射間隔および照射波長を制御したフェムト秒レーザーを光機能分子に多段階照射(マルチレーザー照射)または高強度フェムト秒レーザー照射による多光子吸収(シングルレーザー照射)など種々の光照射法により制御する。今年度においては以下の成果を得た。 高励起状態を経た電子移動過程を最低励起状態を経た場合と比較した場合、電子移動速度の自由エネルギー変化依存性が異なることを、亜鉛ポルフィリンを用いた超分子ドナーアクセプターダイアッドより明らかにしているが、さらにこの詳細を明らかにすることを目的として、ポルフィリンの異性体である、ポルフィセンおよびヘミポルフィセンを用いた超分子ドナーアクセプターダイアッドを用いることで検討を行った。これらすべての異性体について超分子ドナーアクセプターダイアッドの生成を確認し、さらに、過渡吸収測定により、電荷分離速度を導出した。電荷分離過程における再配向エネルギーはポルフィリンが一番小さく、ポルフィセン、ヘミポルフィセンの順に大きくなることを実験的に見出した。この再配向エネルギーの差異はドナー部位の酸化に伴う構造変化を反映したものであり、実際、上記の順に結合長変化が大きくなることを理論計算との比較より明らかにした。さらに、電荷分離における電子カップリングの大きさがドナーアクセプターの結合長の差異を反映していることを確認した。
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