2009 Fiscal Year Annual Research Report
先進的分子ブレーキ担持基板の作成とMaxwellデーモン型制動の実現
Project/Area Number |
21350076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 敬治 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (10252628)
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Keywords | 分子ブレーキ / ロタキサン / 分子機械 |
Research Abstract |
本研究の目的は分子機械の熱による運動を制御する技術を開発することである。室温付近の熱エネルギーは通常の機械を駆動するにはあまりに小さいが、分子サイズの機械に対しては十分な大きさをもっている。主な駆動力を熱エネルギーから得て、制御のためだけにエキストラのエネルギーを使うので、本原理の,分子機械は高い効率の期待される先進的分子機械となる。溶液中での本制動研究を進めるとともに、この研究を基板上に展開できれば、分子機械の動きを外部シグナルとして取り出すことの出来る分子素子とすることが現実味を帯びるので、基板への担持の検討をする。担持後の制動が確認されれば、その性能に応じて駆動条件を最適化し、十分な大きさの外部シグナルを取り出すために必要な機構を明らかにし、小さな面積で駆動する分子ブレーキを実現する。 21年度は、固体表面への担持用ロタキサン型倉子ブレーキの設計と合成をする計画を立てた。まず、本研究の基本骨格となるロタキサンの合成と安定性をはかるために、クラウンエーテルを輪成分とするロタキサンの合成研究を行った。次に、熱による分解に対する反応の速度論的な測定を行い、デスリッピングというロタキザシ特異的な反応に対するシャトリング型分子ブレーキの構成成分の構造条件の検討と取り扱い条件の情報を収集した。本検討で得た知見を展開し、ロタキサンのデスリッピング反応に関して学会報告を行った。次に、ロタキサンを基板への担持させるための仕組みの開発をおこなった。まず、ロタキサンを軸成分の一方に基盤に担持出来るストッパーを導入するために、異なるストッパーを有する軸分子と輪分子とからなるロタキサンの合成研究を行い、非対称ロタキサンの合成条件の絞り込みをすすめた。一方、本研究課題のベースとなる研究と今後の展望とを記した分子ブレーキ研究の総説論文を投稿し、受理された。現在印刷中である。
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