2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350077
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 Kobe University, 理学研究科, 教授 (30280580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 教授 (20172629)
桑原 大介 電気通信大学, 研究設備センター, 准教授 (50270468)
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Keywords | イオン液体 / 相転移 / フェロセン / 磁性 |
Research Abstract |
本研究では、メタロセニウムカチオンを含む新しいイオン液体(メタロセン系イオン液体)の物質開発と機能開拓を目的としている。メタロセン系イオン液体は遷移金属を組み込んだ機能性流体であり、中心金属種に応じ、磁性や色調、酸化還元電位などが変化する。これまでにアルキルフェロセンのTFSA塩および類縁体が室温イオン液体となることを明らかにしているが、この物質系は酸素に対して不安定である。本年度はこの系を出発点とし、メタロセン部の骨格、置換基、アニオン種を変換することによる物質開発及び物性評価を行った。 第一に、アルキルオクタメチルフェロセン系イオン液体の開発と評価を行った。この系では耐酸素性が劇的に向上し、空気中での取り扱いが可能となった。相系列のアルキル鎖長依存性を検討し、この系が結晶状態で多数の固相転移を起こすこと、またアルキル基としてブチル基~オクチル基程度、アニオンとしてTFSAを用いた場合に融点が室温付近となることを明らかにした。これらの結果を踏まえて、相系列の単純なブチル体について詳細な磁気測定を行った。その結果、このイオン液体を磁場中で冷却すると、結晶化の際に磁場配向が起こるため、固体状態の磁化率を磁場の強度および方向で制御できることがわかった。また、この磁気応答性は液体の粘度と相関があることが見出された。第二に、アレーン骨格を導入したフェロセン系イオン液体の開発と評価を行った。この塩も良好な耐酸素性を示し、通常のフェロセン系イオン液体と比べて低融点の塩を与える傾向があった。ただし、置換様式によっては高温で柔粘性結晶が安定化するため、逆に高融点化した。第三として、アニオンの役割を検討するために、特徴あるアニオンおよびアクセプターを組み合わせたフェロセン系錯体を合成し、その結晶構造および相転移の特徴を明らかにした。
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Research Products
(13 results)