2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト界面吸着膜の相転移の機構と動的過程をメゾ・ミクロレベルで解明する研究
Project/Area Number |
21350078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒殿 誠 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20175970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 弘樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00372748)
瀧上 隆智 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40271100)
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Keywords | 表面光散乱 / リプロン波 / 表面粘弾性 / 表面張力 / 界面活性剤 / 界面吸着 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きリプロン波による表面光散乱装置により臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(DTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤(C8E4,C10E5),および糖系界面活性剤(OM)の水溶液/空気表面光散乱を測定し、解析した。DTABおよびSDSでは、リプロン周波数vs溶液濃度曲線に折れ曲がり点が観測され、これは表面吸着膜の相転移によるものであることを明らかにした。また減衰定数vs濃度曲線はこの相転移に対応する濃度で極大をもつことが示された。また非イオンのC8E4,OMでも極大が観測された。 これらの結果を、吸着は拡散律速であるとするLVTモデルおよび吸着障壁のエネルギーも考慮したMLVTモデルで解析した。拡張粘弾性の結果から、C8E4とC10E5は拡散律速であるが、SDS,DTAB,OMでは吸着障壁が影響をすることが明らかになった。MLVTモデルでの解析によれば、イオン性界面活性剤の拡張粘弾性は飽和吸着量よりも小さい表面密度領域でも徐々に増加するが、非イオン性の場合には、飽和吸着量付近で急激に大きくなることが明らかになった。この事実は、イオン性界面活性剤では静電力が遠距離(すなわち界面密度の小さい領域)から働き粘弾性に大きく影響するのに比べて、非イオン性では立体斥力が主であるため、近距離(飽和吸着)に近くなって初めて粘弾性に影響を及ぼすことが明らかになった。しかしながら、OMは非イオン性であるにもかかわらず、頭部糖鎖間の水素結合相互作用が表面粘弾性に大きく影響を与えることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)