2011 Fiscal Year Annual Research Report
一軸圧を駆使した有機超伝導体の基礎研究と高温有機超伝導体の探索
Project/Area Number |
21350080
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 耕一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (40177796)
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Keywords | 有機超伝導体 / 一軸圧 / 超伝導転移温 / 超伝導臨界圧力 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
圧力誘起超伝導体(BDA-TTP)_2I_3における超伝導の転移温度と臨界圧力のおける一軸圧印加方向依存性を解明するため、推定構造をもとに上下バンド間の重なりWo、上部バンド幅Wu、全バンド幅Wを求め、Woの大きさにより基底状態を1/2充填バンドから1/4充填バンドに変化すること、基底状態が1/4充填バンドと考えられる領域においては超伝導が出現し、有効電子相関に関係するWから超伝導臨界圧力の一軸圧印加方向依存性を定性的に説明できることを明らかにした。c軸印加方向でWoは大きくなり基底状態は1/4充填バンドと考えられるが、有効電子相関が小さくなるWが小さな印加方向はa軸に垂直な方向であり、この方向で超伝導臨界圧力は極大を観測する。この結果はJACSに論文として発表した。さらに昨年度、大阪市立大村田研との共同研究で見出したa軸圧およびb軸圧下で、15kbar以上で出現する超伝導を再確認し、現在その詳細は論文に投稿中である。一軸圧下での結晶構造解析に関しては前年度の経験を生かして作製した試料室を大きくした圧力セルを用い、ベリリウムなどからの反射点の除去法や吸収補正法など確立し,2kbarまで測定に成功した。a軸圧力およびb軸圧下では、一軸圧印加により、圧力印加方向の格子定数の収縮が最も大きかったが、c軸印加では、格子定数aの縮みが最も大きかった。しかし4kbarまで加圧すると完全な構造解析には成功していないが、c軸の収縮が最も大きくなった。このことからバンド幅などの推定に用いた考え方は妥当なものと考えられる。
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Research Products
(7 results)