2011 Fiscal Year Annual Research Report
一軸異方性をもつ強誘電性表面分子超集合体の合成とそのデバイス機能
Project/Area Number |
21350082
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
芳賀 正明 中央大学, 理工学部, 教授 (70115723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井塚 勝彦 山形大学, 理学部, 助教 (50457438)
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Keywords | 表面錯体 / 分子配向 / 今極ベクトル / 積層膜 / ルテニウム錯体 / 混合原子価 |
Research Abstract |
表面という二次元場で、配位結合により超分子集合体を形成し、構成分子の分極ベクトルを一方向に揃えた層構造を形成し、光・酸化還元などの外部刺激で大きな分極変化を誘起できる系の構築を目指した。本研究の成果をまとめると、1.分子内で大きな分極が期待できる混合原子価状態の基礎物性を知るためにアンカー基を持たないビス(ターピリジル)ピラジンおよびベンゼン(それぞれtppzおよびbtb)で架橋した二核錯体を合成した。架橋配位部分にRu-C結合を導入することで、2段階1電子酸化の途中に生成するRu(II)-Ru(III)混合原子価状態が空気中でも安定に単離できることがわかった。また、プロトンの解離により金属間相互作用が変わる二核錯体系も検討した。2.四脚型ホスホン酸基をアンカー基としてもつビス(ベンズイミダゾリル)ピリジン三座配位子を有するルテニウム単核および二核錯体の表面での自己組織化膜について検討し、錯体膜の酸化に伴うメモリ効果について交流インピーダンス法により分子膜内への酸化還元に伴うイオンの取り込みを確認できた。3.側鎖に四脚型ホスホン酸基をアンカー基として持ち、かつ金属間相互作用の比較的大きなルテニウム二核錯体を分子ユニットとして用いて、ITO基板上に積層化させた。固体表面での分子配向について偏光スペクトルおよびAFMから検討したところ、分子は表面に配向して規則的に積層していくことがわかった。表面での積層化により、2段階1電子酸化の挙動は積層数が増加しても各層での電位の値は大きく変化せずに電流のみが直線的に増加することがわかった。10層積層したtppz架橋ルテニウム二核錯体ではセリウム(IV)イオンにより固体膜上でも化学酸化により混合原子価状態を作り出すことがUVスペクトルの測定から明らかになった。層内での混合原子価分子は強い相互作用をもつが、層間では弱い相互作用が働くことから、各層に混合原子価状態をもつので大きな分極を引き起こすことができる系を構築できた。ただ、この酸化還元により生成する表面積層膜での分極応答を実際の双極子などの物理量変化として観測することは今後の課題として残った。
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