2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350087
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正男 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
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Keywords | ヘム代謝 / 反応機構 / 酸素活性化 / ベルドヘム |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、3段階の酸素添加反応によってヘム(鉄-ポルフィリン錯体)を鉄イオン・一酸化炭素(CO)・ビリベルジンに分解する酵素である。HO反応は生理的に重要なだけでなく、その極めて特異な反応のメカニズムにも興味が持たれている。本研究では、ヘム分解の主な律速段階に当たるベルドヘム反応に焦点を絞り、X線結晶構造解析・各種分光測定による完全解明を目的とする。また、HO反応において我々が独自に発見した新規ヘム代謝産物の生成機序の確立をも目標とする。 まず、通常のベルドヘム反応の解明を目指し、ベルドヘム-HO複合体と過酸化水素との反応生成物についてMossbauer分光測定を行ったところ、Fe(IV)錯体の生成が明瞭に確認された。また、ベルドヘム-HO複合体の嫌気状態における結晶化に成功し、Fe(II)-ベルドヘム複合体およびそのアザイド結合型の結晶構造解析に成功した。これらの構造を基に理論計算を行ったところ、O-O結合の開裂の後、OH基が水分子の助けによってα-ピロール位に付加する機構が、エネルギー的に妥当であることが示された。以上の結果は、申請者が従来から提案してきた機構を強く支持している。 また、新規ヘム代謝反応のメカニズムについても検討し、酸素濃度依存的に生成物が変化する機構を明らかにした。さらに、各種動物細胞株をヘム存在下で培養し、その培地中から新規ヘム代謝産物の直接検出に成功した。この結果は、新規ヘム代謝反応が生体内でも反応しうることを示す初めての結果である。今後、その特性を詳細に検討することにより、新反応が持つ生理的意義を明らかにできると期待される。
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[Journal Article]2009
Author(s)
M.Unno, et al.
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Journal Title
Nanohybridization of Organic-Inorganic Materials(Springer)
Pages: 193-217
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