2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニトリルヒドラターゼファミリー酵素の触媒中心形成と触媒機構の解明
Project/Area Number |
21350089
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
尾高 雅文 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20224248)
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Keywords | 酵素反応 / 構造生物学 / 中性子 / 生物・生体工学 / バイオリアクター / X線結晶構造解析 / 翻訳後修飾 / タンパク質成熟化 |
Research Abstract |
ニトリルヒドラターゼ(NHase)はアクリルアミドの工業生産に利用される重要な酵素であるが、その触媒反応機構は未解明である。本研究では、NHaseと類縁酵素であるチオシアネート加水分解酵素(SCNase)を材料に、その触媒反応機構と翻訳後修飾を含む金属触媒中心形成機構を明らかにすることを研究目的とする。今年度は以下の研究を行った。(1)NHaseとSCNaseの触媒活性の差異を基質ポケットの変異体を用いて解析した。SCNase基質ポケット内部に突出している二つのアルギニン残基をNHaseの相当する部位に存在する疎水性アミノ酸に置換した変異体はSCNase活性を消失し、NHase活性を示す。NHase活性の反応動力学的パラメータを求めたところ、Km値は野生型のSCNase活性に比べて数倍にとどまるが、kcatも野生型酵素のSCNase活性の数倍まで増大することがわかった。そこで、それらの残基をリジン、アスパラギン、ヒスチジンに置換した変異体を作製したところ、いずれの変異体もSCNase活性、NHase活性ともに著しく低い値を示した。これらの結果から、両酵素は基本的に共通の触媒機構を有し、基質ポケットの電荷と大きさによって基質特異性が制御されることが示唆された。(2)SCNase活性化タンパク質であるP15Kによる成熟化機能の解析を行った。これまでの研究で未解明であった金属結合サブユニットであるγとP15Kの複合体へのコバルトイオンの取込と、それに続くγ-P15K複合体の解離過程を解析した。その結果、γ-P15K複合体が1モルあたり1モルのコバルトイオンを結合すること、コバルトを結合したγ-P15K複合体に新生γサブユニットを作用させると、複合体の解離がおこることを明らかにした。これにより、P15KによるSCNase成熟化機構の概要を明らかにすることができた。
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Research Products
(16 results)