2011 Fiscal Year Annual Research Report
点突然変異やSNPを分子標的とする遺伝子診断・遺伝子治療用機能化核酸の開発
Project/Area Number |
21350093
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 章 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60210001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山吉 麻子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (70380532)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / バイオテクノロジー / 細胞・組織 / 蛋白質 |
Research Abstract |
先天的に遺伝子に存在し薬物感受性等、個人の体質差に関わるSNP及び後天的に生じ、癌などの重篤な疾患を引き起こす遺伝子の一塩基変異を、(1)RNAを対象とし、(2)正確・高感度・迅速・簡便・定量的に検出し、また(3)当該遺伝子の発現を核酸医薬により不活性化することで、疾患の予防、治療あるいは症状の改善等に寄与する分子標的機能化核酸分子の開発を行った。具体的には:(1)DNAならびにRNA中のSNP並びに点突然変異の検出プローブの開発:骨髄増殖性疾患が疑われる患者由来検体中(51検体)のJAC2遺伝子点変異を、PCR増幅後RNA選択的蛍光性プローブの添加・蛍光測定で迅速かつより高感度検出することに成功した。(2)点突然変異RNAのリアルタイム検出とトランスクリプトーム解析法の開発:生細胞内の対象RNA発現の態様を明らかにする蛍光検出システムの開発を行い、RNAの細胞内分布の画像化、生細胞内でのRNAライブイメージングならびに、多細胞系モデル(ショウジョウバエ初期胚)におけるmRNAの局在を解析すること、に成功した。(3)点突然変異RNAの選択的制御によるガン細胞増殖抑制原理の確立及び試薬開発:がん細胞の点変異遺伝子(ras-mRNA)の機能を、新たに開発した光架橋性アンチセンス核酸・UV照射システムで不活性化し、細胞選択的に増殖を制御することに成功した。病気に直結するSNPや遺伝子変異は、「存在すること」が「発症」を意味しない。変異遺伝子が高発現した時、すなわちRNAが過剰発現した時を速やかに診断することが重要である。従って、本研究が開発した、生細胞での遺伝子発現過程をRNAに着目してリアルタイムにモニターするシステムは、病気の早期発見・治療を可能にする「RNA診断法」に繋がり重要である。
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