2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造情報と機能・配列相関の統合による酵素機能の改変
Project/Area Number |
21350096
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮本 憲二 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60360111)
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Keywords | アリールマロン酸脱炭酸素 / 機能改変 / ラセマーゼ / 活性向上 |
Research Abstract |
1)AMDaseの反応メカニズムとマリーンエンザイム アリールマロン酸脱炭酸酵素(AMDase)の立体構造から、脱炭酸反応のメカニズムを明らかとした。そして、この情報を基に各種機能改変を行った。また、石垣島のリーフより採集した微生物から海洋性のAMDaseのクローニングを行い酵素学的性質の解析を実施した。その結果、土壌より単離した酵素と比較して90%程度の配列が一致していた。Km値は海洋性AMDaseの方が良い値を示したが、安定性は海洋性の方が低かった。 2)構造情報を用いた酵素活性の向上 反応メカニズムおよび立体構造を参考に活性の低かったS体選択的AMDaseの活性向上を試みた。迅速にスクリーニングを行う為に、96穴プレートを用いたスクリーニング系を構築した。その系を用いて反応のトリガーである疎水性ポケットについて変異を導入したところ、約920倍と劇的に脱炭酸活性の向上した変異体の取得に成功した。この変異体は、非ステロイド系抗炎症剤として有用なS体のナプロキセンの生産に有効であり、特許出願を行った。 3)ラセマーゼの機能改変 反応メカニズムを参考としてAmaseより創出したラセマーゼの活性向上と基質特異性の拡張を行った。その結果、脱炭酸酵素活性はほぼ消失し、ラセミ化活性の向上した完全な人工ラセマーゼの創出に成功した。この変異体を様々な基質に対して作用させたところ、ケトプロフェンでは50倍もの活性向上を達成した。また、従来基質とならなかったα位にプロピル基を持つような嵩高い化合物についても、ラセミ化を行うことが可能となり基質特異性の拡張にも成功した。
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Research Products
(15 results)