2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム蛋白質のアロステリック効果における情報伝達の構造化学
Project/Area Number |
21350098
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
北川 禎三 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (40029955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 尚志 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (70183770)
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Keywords | 生体分子科学 / 生物物理 / アロステリック効果 / 共鳴ラマン / ヘム蛋白質 / 紫外共鳴ラマン散乱 / 生体生命情報学 / 振動分光学 |
Research Abstract |
アロステリック効果を持つ蛋白質のモデル分子としてヘモグロビンが色々な方法で研究されてきた。我々は紫外共鳴ラマン散乱法を用いてチロシン残基とトリプトファン残基の振動スペクトルを選択的に観測した。その振動数やラマン散乱強度が、それらの置かれている環境に鋭敏である事が知られているので、ヒトヘモグロビンの4つのチロシンと3つのトリプトファン一つひとつに部位特異的アミノ酸置換法を用いて、紫外共鳴ラマン不活性で酸素結合の協同効果を示すアミノ酸に置換し、それらの典型的なT-及びR-状態のスペクトルを測定した。自然体のスペクトルからそれを差し引く事によって、各残基1個のスペクトルを抽出した。それにより、Trpβ37, Tyrα42, Tyrα140, Tyrβ145がT-とR-状態でかなり変化する事がわかった。Tyrα14, Tyrβ15 ,Tyrβ35はTとRでほとんど変わらなかった。TとRの中間状態では,各残基のT状態とR状態の数が変る事がわかった。ヘモグロビンには4個のリガンドが結合できるが、2個リガンドが結合した状態に対して、それらの残基がT状態とR状態にある数を定量的に決める方法を編み出し、それを用いて四次構造を記述する新しい提案をした。この実験により、教科書に記載されているヘモグロビンの機能モデルであるMWCモデルが構造化学としては正しくない面の有る事を指摘した。 インドールアミンジオキシゲナーゼにおけるL-TrpとD-TrpのCO結合型ヘムとの相互作用の違いをCOの振動モード(ν(CO), ν(Fe-CO), δ(FeCO))をプローブとして詳しく調べた。その結果をもとにO_2添加反応における基質の立体異性体に依存する反応性の違いの起源を考察した。
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