2011 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子とイオン液体による超安定動作およびトレーニング効果を有する電解伸縮
Project/Area Number |
21350103
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金藤 敬一 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (70124766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 授 九州工業大学, 先端エコフィッティング技術研究開発センター, 准教授 (10226772)
永松 秀一 九州工業大学, 情報工学研究科, 助教 (70404093)
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Keywords | 導電性高分子 / 電解伸縮 / ポリピロール / 人口筋肉 / ソフトアクチュエータ / イオン液体 / Stress-Strain曲線 / 発生力 |
Research Abstract |
23年度の研究実績を下に箇条書きする。 1)イオン液体を用いたポリピロールの電解伸縮特性とそのメカニズムと伸縮特性。 ポリピロール薄膜の電解伸縮は、通常の電解液では酸化過程で陰イオンがドープされ膨潤し、還元によって脱ドーフされて収縮される所謂アニオン駆動に対して、イオン液体を用いた場合は常に還元過程で膨潤する。他の研究グループでもイオン液体を用いると同様の結果が得られているが、そのメカニズムについては解明されていない。本研究でそのメカニズムを解明した。即ち、フィルム内のイオン液体濃度とイオン液体が最初非平衡にあるものが、最初の還元過程がトリガーとなって、カチオンとイオン液体が注入され、定常過程の電解伸縮に至る事が明らかになった。その成果をJJAPに報告した。 2)イオン液体によるピロール膜の電解伸縮の高機能化 ポリピロールのフィルムをイオン液体中で電解重合を行ない、その膜の物性と電解伸縮特性を通常の電解液中で作製したフィルムと比較を行なった。イオン液体を用いて重合したフィルムは緻密で密度は1.67g/cm3で電導度は100S/cmで通常の安息香酸を用いて電解重合して得られる密度0.89g/cm3および電導度57S/cmに比べて良質であることが判った。しかし、イオン液体により重合したフィルムの方が、伸縮率は大きい事が判った。また、イオン液体中の電解伸縮は格段に長期安定動作することが判った。 3)駆動安定な導電性高分子の探索、PEDOTと超安定カチオン駆動 ポリピロールはイオン液体中で安定駆動するが、まだ実用的には十分とは言えない。導電性高分子の中で最も安定であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)PEDOTを用いて電解伸縮特性を評価した。その結果、各種の電解液を用いて駆動してもすべてカチオン駆動の伸縮を長期に安定に動作することが判った。更に、負荷重を印加するとクリープが見られるものの、電解伸縮率は減少しない事が判った。このメカニズムとして、PEDOTはアニオンをヘリカル構造に取り込み、カチオン駆動となること、および、荷重によってヘリカル構造が一軸配向し伸縮率が増加したものと解釈される。
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