2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA高次構造を応用する重金属イオン検出・除去システムの開発
Project/Area Number |
21350105
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
小野 晶 Kanagawa University, 工学部, 教授 (10183253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 到 神奈川大学, 工学部, 助教 (40460133)
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Keywords | 重金属イオン / 金属イオンセンサー / DNA / オリゴヌクレオチド / 金ナノ粒子 / 水銀イオン / Hg(II) |
Research Abstract |
本研究はDNAの構造と機能を利用して新規機能物質を創製するものである。高感度かつ簡便にオンサイトで重金属イオンを検出する方法論、更には水溶液中から任意の重金属イオンを選択的に除去するための機能分子を開発する目的で、以下の研究を遂行した。 (1)水溶液中の金属イオンの存在を目視により検出するためのDNA-金ナノ粒子(GNP)複合体:トリアジンジチオール(TDT)を結合したオリゴヌクレオチドの合成法を開発した。トリアジンジチオールが金表面に親和性が高いことから、TDT結合DNAはGNPに結合した。チミン残基を有するある配列のDNAはHg(II)イオンを介して二重鎖を形成する。このHg(II)イオン結合性のDNAを有するDNA-GNP複合体は、Hg(II)イオン存在下で凝集した。即ち、Hg(II)イオン検出用のDNA-GNP複合体の、新規合成法を確立した。 (2)金属イオンと選択的に結合するDNA模倣人工高分子の合成:チミン残基を結合したポリアクリル酸エステルの簡便な合成ルートを開発した。チミン結合ポリアクリル酸はHg(II)イオンを結合した。即ち、当初の目的であるHg(II)イオン結合性のDNA模倣人工高分子の合成に成功した。しかし、Hg(II)イオン結合量は、期待に反して、小さなものであった。高分子上のチミン残基の一部しかHg(II)イオンの結合に関与していないことが考えられる。また、Hg(II)イオンに比較して弱いものの、Cu(II)イオン結合性も有していた。高分子の溶解性を向上させるために主鎖に導入したアルコール側鎖にCu(II)が結合したものと考えられる。 以上、計画に則して実験を遂行し予想された成果を上げたが、克服すべき問題点も明らかとなった。
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